Dig it! | HWD+e

Dig it!

ケンタッキーからほとんど出たことがなかったのだから、多くの人にとっては幻の存在だった。あれが噂に聞く、ICWのチャンピオンか。なぜ我々はこんな凄い王者を、ケンタッキーの山奥の田舎インディーに閉じ込めておかなくてはならなかったのか。WWFの進撃で最もその意味を享受出来たのは、マッチョマン関係のことに他ならない。

新種のケンタッキー大山猫見つかる。新種のクーガーがケンタッキーの山奥で見つかったという騒ぎ。檻の中で絶え間なく動き続ける鬣のアメリカライオン。狼のような新種のピューマ。ボサボサの鬣と髭で、眼光をでかい遮蔽鏡で押さえ、バンダナをかぶって変な召し物で、独特のリズムとアクションでうなるように、吼え続けた。

文明国の、まともな教育を受けた者とは思えない、まさにサヴェージ。こんな者は街中にはまずいない。演じている臭がない。すべて板に付いた、自然な風。わけのわからない自分勝手なセンスのファッションとコスチューム。自由の理解も度を越えた、凄い個性だった。まさに、野生動物の如きだった。

ケンタッキーの一部の人しか知らなかったこんな者が、完成品の野生のオオヤマネコが、突然全米ネットのTVの中に放たれたのだ。殆ど見たこともない、天然無添加のドリームフルーツ。WWF初期のマッチョマンを見るということは、大自然の脅威を見るのと同義だった。

長い尻尾を揺らすように指先を揺らして、崖を縫うようにトップロープへ駆け上がり、ジャンプ、ジャンプ、ジャーンプ。トップロープへ駆け上がり、ジャンプ、ジャンプ、アックスハンドル。やたらとトップロープへ駆け上がり、あるいは後ろからジャンプして飛び掛る。めっちゃくちゃだった。しかし見たこともない爽快さだった。

WWF最初の抗争相手は、シークのライヴァルでもあったジョージ・スティールだったのだが、マッチョマンはこのサンマルティノ時代のオールドタイマーを相手に、3年前にバックランドが39秒しか扱えなかったブルーノの宿敵を相手に、なんと半年近くも、エリザベスを介在させた形ではあったが、ICチャンプとして、大した生産性のある面白いフュードを、作ってしまったのである。これが最も驚いたことだったかもしれない。

そしてレッスルマニア9万人。もう殆ど動けなかったアンドレを尻目に、実質的なメーンを務めたのは後々語り草になる、スティーマーとのマッチオブアーリーマニアスである。9万人レッスルマニアのメーンを飾ったのは、ケンタッキーのチャンピオンの、ICWタイトル戦だったと言っても過言ではない。

しかしクールなマッチョマンに会えたのは、ここまでだったかもしれない。人気爆発、ベビー転向、ホンキーとのフュードではもう、ホンキーの方がクールに見えた。理論的にはJCP/NWAの後塵を拝していたオールドスクールのWWFには、あの時分のマッチョマンをあのように処理するしか、やりようもなかったのだろう。メガパワーズ、マーチャンタイゼスに取って代わられる衣装、トライアングル・・・。

ICタイトルを経て、初めてWWFタイトルを制したのはマッチョマンである。WWE王座前にICを踏むのが今では当たり前だが、当時はICは独立して、違うマーケットに供給されているが如き商品だった。IC王者はアート部門の名作担当だった。そしてWWFタイトルに主役として絡むということは、大衆に卸されることも意味した。

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