カルガリースタンピード・タイトル(2) | HWD+e

カルガリースタンピード・タイトル(2)

 フランキー・レーンは、デトロイト・ビッグタイムに、突然ノースアメリカン王者として迎えられる。デトロイトのファンは、何のノースアメリカン王者かなど分からなかったと思う。当時の多くのタイトルウォッチャーも、このノースアメリカン・タイトルには困惑したはずである。


 レーンはどこからこのタイトルを持ってきたのかと、足取追いに奔走したことだろう。情報が光速で飛び交うなどない、テリトリー制時代のハナシ。ノヴァ・スコシアのものではないか? マルチネツのIWAで、アイヴァン・コロフが持っていたものではないのか? 亜流の同名タイトルが周辺にごろついていたのも、混乱をより深くした。


 そうこうしている内に、レーンはシークのところの番頭格、ブルドッグ・ドン・ケントに、この王座を奪われる。さらにケントは、この地に半年ほど来ていて、シークと往年の抗争を再燃させていたフリッツ・フォン・エリックに、抗争終わりの帰り際に簡単に叩かれ、あっという間にこのタイトルを明け渡す。


 フリッツはデトロイトから、はるかテキサスは故郷のダラスに、このタイトルを持ち出す。大物エリックに渡った時点で、このタイトルのロンダリングは、言わば完了である。元NWA会長が自分の領地で、タイトル分裂に関する質問の類など、受け付けるはずもないのだから。フリッツはこのタイトルをテキサスで(オクラホマでという説も)、次の世界王者として自身も推す、テッド・デビアシーに負け与える。


 デビアシーSr.が、79年にMSGに、“ノースアメリカン王者”として持ってきたベルトは、ミスターレスリングⅡでお馴染みの、あのデザインのプレートだったと思う。これは何のノースアメリカン・タイトルなのか? 不遜だった大NWA的には、説明する義務はないとでも言いたげに、フリッツとデビアシーとMWⅡベルトで、どんどん押し込んで来たけれど、少なからずいたNYのマニア達の慌てふためく付いていけなさっ振りは、今想像すると笑えるはずだ。


 当時ひとつの見解があった。ビル・ワッツの独立で、それまでNWAトライステーツにあったノースアメリカン・タイトルは、ワッツの新団体MSWAに移ったわけだが、額面上はNWAの一員ではないMSWAのノースアメリカン・タイトルを、NWAとしては認めず、トライステーツはNWAノースアメリカン・タイトルを空位とし、改めてオクラホマで新NWAノースアメリカン・タイトル王者決定戦を、フリッツとデビアシーの間で行ったのだと。これに一理はあったわけだが、それに関するNWAの大々的なアナウンスもまた、聞いた憶えはない。


 或いはカルガリーの分裂と、トライステーツの残骸の、混合という見方もできる。だとしたらそれは、両者とも元々はアマリロにあった同根タイトルということで、変則的な再合流の、ドラマチックであることは、あるのだ。


 WWFはデビアシーから奪ったノースアメリカン・タイトルをさっさと衣替え。ブラジルでサウスアメリカン・チャンプをパターソンが破り、両アメリカ大陸王者に認定されたとし、ICタイトルを出来あがらす。見事なロンダリングだ。ロンダリングを幾重にも重ねて、出所も何も、新しい実質以外は全て消して、殆どの人はカルガリーまで辿れないようにし、分裂の偽物?に本物以上の実体を与えた。タイトルを新設するということは、ここまでしなくてはならないのだということの、見本がここにある。


 ブラジルの一件の真偽は不問にするとしても、ICと北米の二冠王パターソンが、このあと北米を日本で坂口に落としたのは事実。WWFには北米がICに格上がったようにして凱旋していたのだが。


 continue・・


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