ミズーリステートタイトル(4)
デビアシーという究極の素材で、その意義を果たせなかったミズーリタイトル。以降このタイトルをステップに世界に昇ったのは、これまたフレアーのみである。フレアーは一次政権転落キールの翌月キール(orチェッカー)で、このベルトを巻いている。フレアーはメーンがレイスvs.ハルクだった10月のキール定期戦まで3ヶ月、ミズーリ王者だった。
フレアーは、この10月の定期戦でデイヴィッド・フォン・エリックにミズーリタイトルを失うが、11・24にグリーンズボロで世界王者レイスを倒し、11・25には再びキールに新世界王者として登場し、新ミズーリ王者デイヴィッド・フォン・エリックの挑戦を、ブロードウェイで逃げ切るということをしている。煮ても焼いても食えないダーティエストプレイヤー。フレアーほど、結果的に、このミズーリタイトルをコケにした者もまた、いなかったのかもしれない。
DVEは、翌年、ミズーリ王者のまま衝撃死。そういえば、KVEが、ミズーリの州タイトルを、外国の海外日本で防衛したりしていたこともある。それにそれほど違和感がないほどに、ミズーリタイトルはインターナショナルな特別タイトルという認識が、世界的にあった。石川はあの時ケリーに勝てば、一躍NWAレーティングの2位に躍り出て、キールのメーンでフレアーに挑戦出来ていたということなのだ。95年に大田区でサッド・ジニアスがマーク・フレミングに挑戦したのとは訳が違う。ヴァージニアの州チャンプになっても、ジ・アリーナでホーガンに挑戦出来たわけではないあのタイトル戦は、何が何だか、今以て全く、その意味は分からない・・・。しかし以降、ミズーリタイトルも、本来の意味を見据えられないまま、空回りを続けて立ち消えることになる。
しかしあの、ミズーリタイトルである。レスリングタイトル史曰く、意味のあって出来た特別タイトルは、意味の対象がなくならない限り、形を変えてそれに付いて行く。「NWA」ワールドタイトルの登竜門は、現在のワールドチャンピオンシップに付随して、今も登竜門の意義を果たしているはずである、と。
「ミズーリステート」というネーミングに、便宜上以上の意味はない。その本来の意義は龍になるためのドクターコースである。デビアシーは、ミズーリを経て、不条理にも登龍出来ず、龍になるための門そのものを抱え持ちつつ、どこかへ去ってしまった。デビアシーがその後、意外にもチャンプ・フレアーを追ってくれなかったことは、フレアーファンには寂しさの至りだったが、それがデビアシーなりの、フレアー派閥に対する何かの意思表示であり、意地だったのかもと。
デビアシーは、飛車駒を未だ懐に、御存知WWFでミリオンダラーの虎になる。アンドレを買収して金でWWFタイトルを買うも、ジャック・タニー会長に一喝を喰う。そういえば、フランク・タニーもVMシニアも、総会でフレアーに投じた派ではなかったか。 ・・・デビアシーは、終ぞ正式に、世界王者には成れずに、終わる。
デビアシーはその後、IRSとの名世界タグ王者ティームを構成するが、AJでもシングルの王座に縁はなかった。だからやはり、デビアシーの最高位は座りが悪くなる。しかし。
ある日見るデビアシーの雄姿。そのプラチナホワイトの輝きと、縦長のプレートは、妙にデビアシーの腰にフィットした、見慣れた風情。遠目に見てミズーリベルトと見紛ったミリオンダラータイトルこそ、懐の龍の本尊の、昇華した姿なのではと。あの時デビアシーに留まったミズーリの本義は、ミリオンダラーベルトとなって、次代を作ったストーンコールドに、15年の歳月を掛けて、ライトに譲り渡されたのではないかと。
本来なら各州に、ミズーリ王者レヴェル、デビアシーレヴェルが、いつでも世界に取って代わるぞという構えを持ち合わせているべきな、このビズのロスターの、重要層としての州王者ワールドの、一種の象徴的錦鯉。今こそ、ミズーリタイトルはミズーリタイトルのままミリオンダラータイトルに昇竜したのだという思いを込めて、デビアシーをミリオンダラー・ミズーリステートチャンピオンと呼べ。あのベルトの本来的な出番も、再びやって来る日も近きゆえ。
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