ミズーリステートタイトル(1) | HWD+e

ミズーリステートタイトル(1)

 最近は、6タイムス王者なり、7タイムスなりの言葉が、半ばいたずらにと思えるほどに、乱舞する。かつてはテーズの記録6タイムスが凄まじいとされ、なかなか破れなかった大レコードだったはずなのに。かつては入れなかったガニアの11タイムスなどは、今は入れていいのだろうか。ECW王者のキャリアは、数えることにするのだろうか。


 若きオートンが、シナが、エッジが、パンクが、何度もタイトルを掴む。数えれば、ブッカーは偉大な王者と形容されうるに足るタイムスを誇り、DDPですら、回数で言えば、3回という、ジャック・ブリスコよりも多い記録を有するのである。足しても数十日の期間のペイジに対し、ブリスコは通算で2年半、タイトルを保持しているというのに。


 今年の、HOFerデビアシー。屈指の傑作ギミック、ミリオンダラーマンの請負手。次期王者候補の父上。かつては、16タイムス王者の、宿命のライヴァルと言われ、世界タイトル獲得レースでは、フレアーの前に、最後の最後まで立ちはだかった強豪中の強豪。


 しかしこの、フレアー世界タイトルレース史上最強の難敵は、一度も、終ぞ一度も、世界王者史上にその名を刻んだことはないのである。さらに言えば、彼はUS王者の経験もなければ、額面上は、IC王者の経歴もない。我々は、この、紛うことなきファーマープロフェッショナルレスリンググレイトが、HOFerに選出されるこの時期に際し、その肩書きを、何という風にして紹介すべきだろうかと思うのだ。後世のファンに、デビアシーが、ブッカーやDDPより、ともしなくとも偉大だということを、一言で伝えるとするには、レスリング歴史学的には、どうしたらいいだろうと。


 デビアシーの、額面上の最高位は、ノースアメリカン・タイトル。正式に言えばMSWAノースアメリカン・チャンピオンだろう。NWAの七大USタイトルのひとつであるから、準世界王者ではあった。しかしデビアシーを掴まえて、元ノースアメリカン・チャンピオンとして終わりにするには、あまりにも何かを忘れてきたかのような、据わりの悪さが残る。DDPをしてスリータイムスワールドチャンプとするが如くに。


 フレアーの宿敵、デビアシー。同時代にフレアーが、或いはハルクがいなければ、デビアシーも、ブロディも、ツルタも、世界王者になっていて、何らおかしくない顔触れだ。今思えば、なっていない方がおかしいという気さえして来る。パンクやジェフ・ハーディーやシナやエッジらが、軒並み名チャンプ面をしている記録界なのである。


 或いはデビアシーの肩書を、元ミズーリステートチャンプとしてみる。


 ミズーリステートチャンプなどと言ったって、今のファンには果たして、どれほどがどのように響くか。加えて、MSWAというグループ名もNWAノースアメリカン・タイトルもそうだが、ミズーリステートタイトルも今も同名で在るから、それがさらに事態をややこしくもしている。


 今のミズーリステートタイトルは、かつてのミズーリステートタイトルか? 現在、NWAミズーリが管理する同名タイトルは、現在のNWAが謳うように、かつてセントルイスレスリングクラブが運営した、あのタイトルの続きと言えるか。


 デビアシーHOFの頃合、そんなことを考えるのも一興であろうと。


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