TGC Fall | HWD+e

TGC Fall

 ジョン・シナの、ずっとFUと呼ばれてきたスローバックは、今はアティチュードアジャスターとかアジャストメントとか。少し派手な、ファイヤマンズキャリーのことなのだが。最初はたしか、スピコリドライヴァー的な風情だったという記憶もある。


 最近は、殆どのレスラーが、自分のシグネチュアに、オリジナルの愛称を付ける。ツイストオブフェイトと、RKOと、ダイアモンドカッターは、多分同じ技のはず。小指の角度ひとつでも違えば別技だと言ったのは屁理屈大王。スタナーとエースクラッシャーとディサイプルカップケーキのナントカという技も、多分同じ技だ。


 今日日はインディーズと呼ばれるところの全てのレスラーすら、全員、自分の技に個別の商品名を付けているので、とても一朝一夕に憶え切れるものでもない。小指の角度というのはやはり理不尽ですぜ大将。


 さて、この、自分の技に個別の愛称の走りは、なんだったかという。


 デトロイトを牛耳ったザ・シークの、キャメルクラッチ。他のデフォルトが思いつかない位のアラブ名だが、これをアメリカンがラクダの名称とともに使うのが違和で、カウボーイのネルソン・ロイヤルが、テキサスブロンコバックブレーカーの名で、或いは、やはりキャメルクラッチを、ビリー・グレアムが、スーパースターリクライナーとして使ったのが最初か、などと。


 ロジャースやデストロイヤーで有名だったフィギュアフォーを、カナダのホープと言われていたパワーズが、2倍強力だとしてエイトロックと名づけた時は、その不遜さが事件視されてもいる。


 フィギュアフォーへは、アイアン・マイク・マッコードから変身した“ユニヴァーサル・ハートスロブ”イリディスティブル・オースティン・アイドルが、ラスヴェガスロックというけれんたっぷりの名を使用している。ダスティ・ローズの、まるで肘が別の生き物のように自在に動き回る様子は、バイオニックエルボーと喩えられた。


 しかし、現在のような、技の名前なのかどうか容易に分かりかねるような、ともすれば曲のタイトルのような、劇的なコピーを最初に用いたのは、エイドリアン・アダニスの、“グッナイアイリーニ”ではなかろうかと。


 イタリア系のハンサムな若者キース・フランクスに、アドリアの美少年という名を与えたのは、元々はあの、ジム・ヴァーネット。ファンクランドで、賭賞金の公開チャレンジマッチを無敗していた時には、ゴールデンボーイと呼ばれていた。日本の猪木の、難技とされた卍固めを、苦もなく操るセンス。


 黄金の美少年アダニスは、AWAで、ジェシー・ザ・ボディ・ヴェンチュラとイーストウェスト・コネクションでチャンプをしたが、その衣装は中世のヨーロッパ騎士風。赤紫羽根の黒い広つば帽が評判だった。“ボーイ・フロム・ニューヨークシティ”としてホットローダーに変身する前は、アダニスは実は、エイドラブルだった。あのライダージャケットと鞭も逆に言えば。


 ただ、そのムーヴやコスチュームのセンスとともに、技名への命名もクールだったなぁと。一時日本でチョークスリーパーなどというアップサイダウンが跋扈したが、窒息させては、女神は眠りにつけない。因みにリヴァースアトミックドロップへの俗称マンハッタンドロップは、古舘産。最初はヴァーティカルスープレックスへと滑らせた。


 そろそろレザージャケットが必要だと思わせる、そんなチリーな、秋の夕暮れ。


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