ノースアメリカン・タイトル(3)
かつてロジャースが世界に座るに当たり、シカゴが世界タイトルとUSタイトルを独占することのバランスの悪さから、世界タイトルとUSタイトルの管理権が入れ替わるように、USタイトルがハートランド地区に移ったことがある。おそらくそれと同じように、このノースアメリカン・タイトルも、NWA内メンバーのパワーバランスを考えられたのだろう。
誕生も変身も消滅の仕方も、変則の連続だったとはいえ、MSWAノースアメリカン・タイトルほどの、或いはファンク親父やNWA会長達の、無視出来ない史流を湛える大きなタイトルは、そう簡単に死滅はしない。ノースアメリカンとは、カナダと米国の範囲を指すから、USタイトルに飲み込まれる性質にもない。ICタイトルは南アメリカを巻き込んだより大型のタイトルだから、これもノースアメリカン・タイトルとは競合しない。ノースアメリカン・タイトルは在っていいタイトルであり、在るべきタイトルだともいえる。
WCWタイトルは、そのつもりであるにせよなかったにせよ、ノースアメリカン・タイトルだとの見解がはまってしまう。このタイトルに呼び寄せられるようにWCW・VPに招かれたビル・ワッツが、あのタイトルをより、MSWAノースアメリカン・タイトル寄りに見せた。ロン・シモンズ対ヴァン・ヴェイダーなど、タルサドームのメーンにこそ似つかわしいなどと。
WCWタイトルは周知の通り、3年ほどで消える。94年6月に、ジム・ハードの気まぐれは、フレアーに尻拭いされて終わる。と、翌月、WWNに、NWAノースアメリカン王者グレッグ・ヴァレンタインが登場する。
前に、現在のNWAタグティームタイトル(それはTNAタグティームタイトルの前身でもあるのだが)は、92年になくなったUSタグティームタイトルの変身だと言ったが、フレアーとクロケットやヴァレンタインの関係を考えるに、そういう取引をしたとしてもおかしくもない。
ヴァレンタインは、WWN/NWAノースアメリカン・タイトルベルトの中央にジョニー・ヴァレンタインの写真を配し、あのタイトルが、ジョニーゆかりのものであることをアピールしていたが、おそらくその点については、昔オハイオにあったAWA世界タイトルのことを指していたのだとと思われる。ジョニー・ヴァレンタインはかつてオハイオでこれを奪取後、これを世界王座とは自ら認めず、アメリカン王者を名乗ったという逸話がある。誰かに聞かせてやりたい美談だが、息子もそれに倣い、UWF→PWF→WCWと来た北米タイトルを、軌道修正したということなのではないか。ジョニーの息子がやった、或いはやらせたことにもまた、意味がある。
WWNが本拠としたダラスは御存知、WWNの前にGWFがしばらく健闘していた地だが、ここの看板ヘヴィー級タイトルが、GWF北米タイトルだった。ジョー・ペディシーノは、なくなったと見られていた、MSWAノースアメリカン・タイトルの後継を意識したのかもしれないが、ダスティやクロケットに比べれば、これを運転していい権利は、無いに等しい。ただ、あの時期にダラスをこのタイトルで面白くしたペディシーノの功績は、一定の評価をされるべきでもある。
WWNは、ジョニーのアメリカン王座とともに、このダラスのペディシーノGWF北米タイトルも、この時、NWAノースアメリカン・タイトルにまとめたと考えるのが正しいのではないか。
ヴァレンタインからビッグ・ジョン・ホーク、ダブルJに渡ったこのタイトルは、JJの時にまた再び封印されたと、言われている。現在のNWAノースアメリカン・タイトルは、ナッシュヴィルのミュージックシティレスリングが始めたノースアメリカン・タイトルが、その母体だと。しかしナッシュヴィルはJJのホームだし、支脈を紡げる要素はあり、これは、事態を見守りつつも、MSWAノースアメリカン・タイトルが生きていると考えて、一定以上は、いいのだと思っている。
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