ノースアメリカン・タイトル(2) | HWD+e

ノースアメリカン・タイトル(2)

 統一ノースアメリカン・ウェスタン王者バリーを倒した方の無冠のウィリアムスは、ご褒美か埋め合わせか、88年に世界王者フレアーとの世界戦の連戦を組まれる。もちろん、UWF世界との統一などという謂れは一切触れられず。それは当たり前。あれはあくまでノースアメリカン・タイトル。世界王者を倒さずして、ノースアメリカン王者は世界王者にはなれない。


 で、統一ノースアメリカン・タイトルのはずの、ウェスタンステイツ・ヘリテイジ・タイトルだが、これはバリーからたしかズビスコ、ダスティに渡った後、立ち消えになっている。JCPがTBSに買われ、WCW Inc.誕生の運びの混沌に際し、ダスティが新会社に残れなかったこともあり、統一ノースアメリカン・ウェスタンステイツ・ヘリテイジ・タイトルはここで無くなったと思われている。


 ところが、新会社WCWに残れなかったJCPチーフブッカーのダスティは、何人かの子飼いを連れ出して、古巣フロリダに、PWFという新会社を作る。ここにPWFタイトルを設置して、これに世界を名乗らせるのだが、これがつまりUWFタイトルであり、彼が当時止まらせていたノースアメリカン・タイトルだという牽強付会も?成り立つ。


 世界と名の付くタイトルを勝手に作っていいはずはない。だが、当時ダスティが正式に持っていた権利で、最も世界に近かったのはUWFウェスタンヘリテイジだったので、新王座設営に際して、一番妥当に該当するのはこれだと。ちなみにダスティは、サンフランのUSタイトルの最終保持者でもあったが、これはバディ・ローズで分裂したブランチが、今のシェルトンのタイトルに正規に合流した経緯がある。


 PWFは結局、ダスティがWWF入りしたことなどで程なく終わるが、PWFノースアメリカン・タイトルはどうなったかというと、このベルトは、91年のバッシュの時に再び、突如として現れる。あの、フレアーがゴールドベルトを持ったままWWFにジャンプした事件で御馴染みの、91年のルガー戴冠時に、再び姿を現すのだ。


 フレアーにゴールドベルトを持っていかれて困り果てたWCW。この時再びWCWのチーフブッカーに返り咲いていたダスティーは、かつてのPWFベルトに、WCWタイトルの旨のプレートを付け焼刃することで急場を凌いだ。だからルガーがはじめてWCWタイトルを取った時の映像では、PWFベルトを巻いて世界王者振るルガーがそこにいる。


 WCWタイトルとは、かつても言ったように、世界王者でありNWA王者でもあったフレアーに、WCWも相乗りさせて貰うことで出来たタイトルだ。リアルワールドタイトルのゴールドベルトに相乗りさせて貰って、やっとタイトルの体面を保てる風情が、生意気にも相乗りさせて貰った王者フレアーから、リングで戦いもせず、WCWタイトルだけ取り上げると言う本末転倒を起こす。


 ところが、取り上げたはいいものの、実体のない有名無実の新設タイトルだから、ベルトもない。だから何かを取り繕うためには、今、そこにある何かを持って来て補わなければならない。それがPWFタイトルであったと。咄嗟の時ほど本性が問われるものである。ならばWCWタイトルの中身は、ノースアメリカン・タイトルだったのではないかと。


 ローカルタイトル以外のタイトルは、勝手に作れない。それは世界的ニュース専門チャンネルを持つ会社でも、島国のホストクラブでも条件は同じ。正規の公的タイトルは、勝手に作れない。ならばWCWとて、世界タイトルなど勝手に作れない。であるならば、いやしくもしばらく通用したWCWタイトルとは何であったかのかというライトアンサーが、後日要ることになる。それがノースアメリカン・タイトルであるならば、全てが符合するというハナシ。


<続く>

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