16:30
日テレが地上波のレスリングから撤退、NOAHはG+でとのこと。時代のニーズになんたらと社長か何か。野球やヴェルディですらあの様の中、ここまで持った方なのかもしれない。
太陽にほえろや金八よりも、とNJの新刊。それは返す言葉で、全員集合や水戸黄門や、巨人戦よりも、でもある。ホームヴィディオもチャンネル権もなかった時代、16:30にAJ中継が降りて来てくれたことは、子供達には歓迎すべきことだった。
最近は踊らなくなったが、14とかそういうPG表示のようなものがあった中、子供達は何を観る。仮面ナントカやウルトラナントカよりも、マスカラスを先にヒーロー視した子供達は、果たして日曜深夜に観てはくれるか。よしんばHDへの録り方は知っても、触れる機会がまずなかろう。
77年の田コロの映像では、真夏の野外の夜に、野球帽のキッズが走り回る。馬場は夏休みには、必ずマスカラスを呼んでくれた。16:30の夏だったとしても、こまっしゃくれた金髪の若僧や薄汚い刺青ボウズでは、仮面貴族の代わりになれようはずもないが。
二代目タイガー。いつしかエルボーの貴公子と。えげつないけれどそれほど工夫も労苦もないフォーアームスマッシャーは、看板に偽りあり。何故ならあんな鋭角にエルボーを当てるのは、レスリングでは反則だから。権限もない人が勝手に、レスリングのコンスティテューションを変えてはいけない。
ライガーが出て来てからまでも、ともすればマスカラスより古いタイガーがまだいる事実。佐山は独自のフィジックで受けたけれど、アニメとは端から別物だった。ミスティコですらスペル・アストロ以上に見えない時代に、アイドルが深夜にヴィシャスな技を繰り返す。
ほの暗い冬の夕刻、ヴィディオも録っていないTVの中で、ビシィッ、ビシィッ、という鞭の閃光が突然2閃。見れば350ポンドの流血大王が、右へ左へ大きくゴロゴロと転げまわっている。青いジャケットが、キラー・トーア・カマタを空気投げのような見たこともない技で、TVに食い入る子供たちの視線を独占していた。ライディーン。リッキー・スティムボートのかのディープアームドラッグ。16:30の子供たちに与えるあの28年前の衝撃は、今の全てのレスリング番組に、あるか。
今年のHOFerの一人は、一度も悪役をしたことのない、生粋のベビーフェース。ベビーフェースが純粋なパフォーマンスを売るのがその第一条件だとするなら、スティムボートのアームドラッグは、史上最高のレスリングパフォーマンスだといえる。つまり今、シンプルなレスリング技をスーパーパフォーマンスとして提供出来るTVの中のタレントは、いるのかという。だとしたら何を売っているか。16:30の子供に何を売るのかと。30年前のパフォーマンスなのである。
誰もがクールバッドガイ振って、深夜で何をする。クールバッドガイ同士がインディーズで何を、何のために何を争う? 極端に言えば、フレアーがいたのは、同時にスティムボートがいたからである。
エルボーを激しく打つこと、回転十字固め、キック・・・。こういうのは高級なレヴェルのレスリングパフォーマンス以前に、レスリングの技とすら言わない。深夜とはいえ、30分のレギュラーを持つのは、ジャニーズのタレントだって大変なこと。エルボーだとかヒザ蹴りだとかばかりで、レスリングを観ようとする未来の芽に、レスリングを磨くことを伝えることすらして来たか。
”ザ・ハマー”は、鈍角の肘打ちしか許されないルールだから生まれた文化だ。ヨーロピアンアッパーカットもまたしかり。エルボースタッブがクールなのは、反則してますよと、けれん味たっぷりにわざと見せびらかしているからだ。何の文化的値打ちもないあの野卑な肘打ちは、レスリングを侮辱している以外の見えようもない。
全員集合の下品なギャグなんか大嫌いだった仮面貴族の視聴者が、志村のCFパロなんかで笑えると思うあのセンスの強要が、今はさすがに寂しい。
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