NWA & NZLT (3)
<前回から続く>
レスリングビズへの新参者だったハードは足許も見られ、言われるがままにNWA復活への梃子を入れる。偶然の方便に使われたにせよ、ベルトを取り戻す過程の裁判で、死んでいたNWAは名実ともに甦る。取り返した後のTBS特番クラッシュでは、新VPカウボーイ・ビル・ワッツにより、自身も取れなかったNWAタイトルベルトだと、最終保持者リック・フレアーの名前を出してまで、現在RAWにあるベルトがしっかり掲げられた。NWAとNWAタイトルが完全に甦ったと、全米が観た瞬間だった。
ベルトを取り戻す裁判の過程で、WCWと、NJと、SMW、ECW、ニュージャージーのWWA、オセアニアのリッカードとオーディ、一気に7団体加盟の組織に膨れた新NWA。ただ、ハードとフレアーが衝突しなければ、決して望まれたものではなかったNWAの復活。大事なことは、フレアーがタイトルを支配することで、独裁の及び難い合議制のNWAは、フレアーWCWにとっては、都合のよい面ばかりではなかった。予定通りWCWとNJが抜けたあと、わざわざクロケットを復活させてまでして新たに加盟させたのは、NWAの顔役による、改めての、NWA終焉着手のパブリシティーを行いたかったからだ。
ECWによる、NWAタイトル蹴っ飛ばし事件。これがポールEによる単独犯でなかったのは、WWNやコーネットの散り方でも明らかで、NWAは改めて終わったのだよと、改めて知らしめることが重要だった。世界タイトルを独占したいという一派にとっては、アライアンスが痒しの存在であることは、78年来のことだった。
ニュージャージーでモンスターファクトリーとつるんでいたデニス・コラーゾのWWAは、ECWと提携していた関係でNWAに参加することになった端っこメンバー。蹴っ飛ばし事件の後、NWAに残ったのは、実質この、おまけメンバーのコラーゾのみ。NWAをあらためてツブしたい一派にとっては、まさにおまけのメンバーだったろう。しかしこのコラーゾが一人、ECWで蹴っ飛ばされたNWAベルトの亡骸を泣きながら抱き抱えてニュージャージーに持ち帰り、子飼のクライベイビーに泣いて頼ったことで、またしてもNWAタイトルはかろうじて生き長らえてしまう。
この時点でも、コラーゾに何が出来るとも思われていただろう。クロケットはパタリと活動を止め、スモーキーマウンテンはWWFとの提携に走る。WWFにはNWAノースアメリカン王者として、ジャレットが登場したりする。コラーゾのNWAタイトルは、コラーゾが勝手に作ったものだとばかり、無視を決め込まれていた。キャンディードもメジャーとの契約を迫られていた。
コラーゾに何が出来るものか。しかし、コラーゾのような、言わば小物がNWAを運転しているというような外観は、多くのインディーズに、NWAの敷居が低くなっていることを知らしめた。この時、各地でインディーズを運転していた面々は全て、70年代にあの大NWAの威光を刷り込まれていた世代。かつてのNWAとは違うと分かってはいても、あのロゴと、レイスやフレアーの腰に巻かれていたテンパウンズオブゴールドを目の前にすれば、子供の頃のあの想いが、否応なく湧き上がる。それは誰しもがよく分かることだった。
UFC王者サヴァーン、ジュードー王オガワ、ゲイリー・スティールにハシモト、コロラドキッド、コリーノも含め、チャンプの人選には慎重を規して来たとは思う。しかしよってたかって潰されることを望まれていたNWAを支えたのは、かつてファンだったインディー系プロモーターズの、子供の頃の豊かな想い出以外の何物でもなかった。多くのプロモーションが、多くの収益を上げることなどしてはいなかっただろう。それでもかつてのファンが、うれしそうに支えた。手弁当頬張りながらニコニコと。あのNWAを、今俺達が動かしていると。
NWAは見る見る膨れた。コラーゾWWAと同レヴェルの全米のインディーズが、次々に参加して来た。まずはコラーゾの知り合いから、そのまた知り合いへ。それはWCWやECWをはじめとして、NWAを潰そうとしていたマフィアどもの予想だにしなかった事態だったやもしれない。そして、そのかつてのファンは、NWAを実質復活させたファーザーのことをも、当然忘れなかった。
<続く>
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