Piledriver
グループ名にもう少し気の効いた響きはなかったのかとの感想はあるものの、Riseなどのコンセプト不明も手伝い、バーナードとフラーを加えてNJをドミネイトしつつあるGBH。NJですっかり主役ヅラしているが、それは基本的に妥当だと合意しつつも、真壁の反則などは、やはり目に余ると、言わざるをも得ない。
レフの目を盗むとかいう基本線が無視され過ぎではないかと。もうVも何も、出尽くしている世の中だ。よしんばレフの目を盗むという建前が成立していたにせよ、後からTVで流されたりなんだりしているのに、ペナルティすら課されないのは、・・・ ・・・ 無理がありすぎる。見て見ない振りも弁護もしんどいと感じるこの感覚を、怖いと慮っては下さらぬか。見て見ぬ振りも弁護もメンドクセーと感じたら、リモコン押せばいいだけの現代なのだ。
反則という奥の手のはずのテクニックさえなおざり。本来奥の手の禁じ手なのだから、その遂行には細心の注意が払われてしかるべきだったはずなのに。本来最も刺激的であるはずの繊細な文化を、もうやめたらどうだと感じ続けて、さて何年が経ったのだろう。
反則と言っても色々ある。5カウントまで許してもらえるのは、あくまでルールブレイキング。いわゆる反則負けはディスクオリフィケーションといい、レスリングの本質に関わる資格の有無を問題とする。軽いルールブレイキングはさまざまなテクニックとともに、こちらを思わずニヤリとさせるような文化を沢山生んできた。レフの死角を突く種々の工夫。ルールブレイキングに対す研究と研鑽には、感心することが少なくなかった。やる方も観る方も、ルールブレイキングマナーに対する敬意すらあった。
真壁のチェーンドクローズラインは、やり過ぎでやはりマズい。マッチ後の乱闘ならまだしも、衆人監視の中行われて、ピンに結びつくなんざ狂気の沙汰。ファンが騒ぎ出して判定無効になるか、或いは後のヴィディオチェックでノーコンテストにされるかしないと、これはもう、現代の社会の何かの枠組みの中に、居れなくなる。WWEにもTNAにも心しておいて欲しいことだが ・・・ 。
かつては二人掛りの攻撃には、ピンカウントが入らなかったものだ。ミスター高橋ですらキビしかった。それが今やトルネードマッチかと見紛う状態。IWGP実行委員会とかってのの前に、スペシャリスツ集めてIWGPチャンピオンシップコミッティーだろうに。
かつては、オーヴァーザトップロープはおろか、トップターンバックルからダイヴする攻撃は即DQをとることも多かった。有名なレイ・ザ・クリッパーのアトミックボムズアウェイはその網をかいくぐって行うから盛り上がったと。メンフィスのパイルドライヴァーしかり。ルールブレイキングが沸くとしたら、それは必ず厳格なルール執行との併せ技なのである。
魔界で総帥でビッシビシしていた勘太郎が、ホールで立会い人として外道に一発。アレは面白かったではないか。ああいうアングルは強化してほどの、それに対抗する反則文化の切磋琢磨なのである。ルールの適用は厳しくすればするほど、反則にも創意が加味されて味わい深いものになる。ともすれば我々のヒーローたる悪役、それはこのインダストリの文化の、直接の担い手でもある。彼らを一秒足りとも堕落させてはならないのは、このビジネスの伝統のレシピのハズである。
- 風の王国 (新潮文庫)/五木 寛之
- ¥740
- Amazon.co.jp