Extreme Title (1) | HWD+e

Extreme Title (1)

 先の、ZERO1の前“世界ヘヴィー級”チャンプの田中を指して、解説のGK、こんなことを言ったりもする。「田中は日本人で唯一の、ECW世界ヘヴィー級チャンピオンですからね。」こういう発言にはやはりどうしても、引っ掛からざるをえないのが我々である。


 たしかに、額面を受け売ればそういうことになる。当時から確かにポールEは、ECWタイトルを世界ヘヴィー級と名乗っていた。で、田中は確かに、その時のECWチャンプになった。それはそれで快挙でもある。しかしあのGKのコメントでは、それを聞いたティーンのファンは、今のマット・ハーディーのタイトルに就いたことがあると思いかねない。古いファンにはボックウィンクルの威光を借り、新しいファンはマット・ハーディーでまやかす。誤解が誤解を呼んで訳が判らなくなる前に、ECWタイトルについてまとめておく必要性を感じた。


 RVDで始まり、マット・ハーディーに至る現在のECWタイトルは、ハッキリ、WWEタイトルの分裂タイトルとして、WWEブランドが発進させた、第3機能の新しい世界タイトルである。その詳細はほんの数年前に、全世界が目撃した。WWEはポールEを獲得する行き掛かり上、ECWのレーベルを手に入れる。ワンナイトスタンドを経てECWを始めることにもなる。しかしだからといって、WWEタイトルの暖簾分けがなければ、フィラデルフィアのタイトルがそのままに、WWEの世界タイトルとして通用したかと。


 ライノが袋にいれてドラム缶に放り込み、火を付けたことになっているベルト、オリジナルECWタイトル。91年に質屋の親父のトッド・ゴードンが、80年代の東部のファンの懐古趣味を満たそうと、ムラコvs.スヌーカで始めた、イースタン・チャンピオンシップ・レスリングがその源流。名IC王者だったムラコをイースタン・チャンプとして、フィラデルフィアのビンゴ会場に、千人の観客を週に一回集めることで出発した。


 ポール・E・デンジャラスリーが、WCWでのマネージャー活動を止め、デンジャラス・アライアンスで稼いだ全財産を注ぎ込んで、ゴードンからECWを買った後から、ECWは変わる。イースタン・チャンピオンシップ・レスリングからエクストリーム・チャンピオンシップ・レスリングに名称を変更、NWAの新王者決定トーニーを誘致した上で、新王座を蹴飛ばし、ヘイマン流儀の世界タイトル暖簾分けを、NWAタイトルより受け、ECWタイトルを世界タイトル化した。


 時は94年8月、WCWでフレアーvs.ホーガンのタイトル連戦真っ只中。NWAはその最中に、ホーガンに移ったばかりの「NWAタイトル」を、ホーガンがNWAショーの派遣要請に応じないと難癖?して遂に剥奪、トーニーを開催して新王者を決める。フレアーにもホーガンにも勝っていないダグラスが、そのダグラスにも勝っていないキャンディードが、世界チャンプのわけがないだろうという非難轟々の中。そのNWAタイトルの分裂儀式に頼ったヘイマンのタイトルも、世界に成れるわけは、理論的には、なかった。


 が、ECWはECF'nアリーナを満杯にし続け、TNNを取り付け、PPVを放つ、準世界タイトル規模に成長、その独自のスタイルとも相まって、ハードコア・エクストリーム・タイトルとしての特別席を獲得して行く。ハードコア・タイトルや3WAYDanceなど、2大メジャーに多大な影響も与えつつ。その特別性が今日のECWタイトルのある種の箔にに繋がっているのは間違いはない、しかし・・・。

<続く>


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