Minn. rite
日本ツアー2日目、フレアーはブーダカンでリーガルと対戦、これを制した。
リック・フレアーのプロとしてのベースは、英流にあると思っている。フレアーがプロになるためのトレーニングを積んだガニアキャンプの、在籍当時のヘッドコーチ、ビリー・ロビンソンは、他にも多くのスターを造る。
IC王者のパテラにムラコ、サージ、プレイボーイ・バディ・ローズ、プリティボーイ・ダグ・サマーズ、ハイフライヤーズ、マイク・グレアム、リッキー・スティムボート・・・皆ガニアキャンプ全盛期、ロビンソン・ヘッドコーチの教え子。基礎をロビンソン流で叩きこまれ、それを元に、個性的なギミックをプラスさせて、ビッグショットへと羽ばたいていった。
ガニアキャンプ出身者にある特徴。それはどこか牧歌的なファンクランチとは違う、カレッジ臭のキツいフロリダのエディ・グレアム流でもなく、直線的で力強いカルガリー風でもない、抜け目なく理詰めで、流麗な香り。それは英国の伊達男と言われたロビンソンの、華麗なる、独自のフラムボーヤンスにも似た。
ロビンソンの弟子達とは従兄弟弟子に当る、ゴッチの弟子筋のNJの人等には、それはそれでゴッチ臭というものはあるから、それそのものがスネークピットということはないだろうが、スネークピット流というか、英国流が正道だと考えられていたのは、ガニアがキャンプのヘッドコーチを英人に任せたということや、エディ・グレアムがわざわざマイクをガニアキャンプに預けたこと、或いはドイツのゴッチがそもそも英に出向いたのを見れば、よく分かる。
アメリカのカレッジスタイルが、どうしてもシュート足りえないように、現行のオリンピックスタイルやその延長戦上にあるものの中に、本来的なレスリング、つまり大陸ローマ由来の、正々堂々としたグレコローマンではなく、地面すれすれに刀を滑らすが如き汚いキャッチアズキャッチキャンの蛇道を、ルールとして反映させるのが困難な側面は、どうしてもある。
だから毎年ルールが変わるようなオリンピックスタイルやカレッジスタイルに、レスリングの本流を任せられようはずもなく、そこにまた、競技としてのプロの存在意味もある。現行のアメリカのプロレスリングにも、2割ぐらいの競技性を求めてもいいと思っている。ブレンドの具合にはまた、センスを問われるだろうが。
柔術はレスリングではないし、サンボもチタオバもレスリングとは思っていない。英国のキャッチにだけ、ただのシュートとは一線を画す、独特の美意識に貫かれているレスリングの本流を感じている。レスリングしか受け入れることの出来ないレスリングファンは、それをレスリングと表現しているのだとも。アメリカのプロレスリングも、少しだけその匂いが残る、レスリング一族の1つ。シュートやオリンピックルールがレスリングの本質だと思ったことは、あまりない。そしてそのレスリングのエッセンスを、多くの弟子を通して現代のアメリカレスリングに遺した、その橋渡しをしたのが、ビリー・ロビンソンだったと思っている。
ビリー・ロビンソンは終ぞAWAチャンプになれず、ガニアにもボックウィンクルにも勝てず、最後までアメリカのレスラーに対して不満を口にしてきたが、その一方で、多くの弟子を通してアメリカレスリングにした功績は計り知れない。そしてそれに我々は、感謝以上の気持ちを持っている。
WWEはOVWと手を切るという。フロリダのスティーヴ・カーンにしても全てを任せられるのも荷が重いだろう。WCWパワープラントの時も思ったが、マイク・グレアムやグレッグ・ガニアは何をしているのだろう。ロビンソンから教わったことを、彼らが伝え遺さなくて、誰がヘリテイジできるというのだろう。
ファイターとしてのリック・フレアーを育てたのは、二人の英国人だ。ロビンソンとジェフ・ポーツ。あまり知られていないことかもしれないが、フレアーはJCPのデンで、NWAチャンプを目指すにあたり、UKからジェフ・ポーツを招き、秘密特訓を行われている。ポーツも確かビリー・ライリー・ジムと関わりがあったはずだ。今でも英流にしか頼れないという状況は、変わっていないのではないか。エンターティメントにしても、レスリングはレスリングなのだ。
次のフレアーを、誰もが期待している。それが英国人にしか実績がないのなら、次のロビンソンとジェフ・ポーツに頼ってみることも、とても重要な一手であるような気がしてならない。
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