Charlotte rite (2)
<前回から続く>
スコットのどうだという表情が、今でも浮かんで来そうだ。スコットの世界制覇の確信が、今でも手に取れる。ジョニー・ヴァレンタインの役を、そのまま息子のグレッグに引き継がせ、新たにジミー・スヌーカという個性も参入させ、スコットは70年代のミッドアトランティックに、50年代のニューヨークの舞台を、新しいキャストで再現してみせた。
全米に轟くジョージ・スコットの威光。そのスコットのストラクチャの中核に、日系の若者が居た。長い黒髪、筋骨隆々の体躯。フライングメイヤー一発が、ショウイーな大技として絵になった。フライングヘッドシザース一振りで、アリーナの蜂の巣を突いた。そしてあの、サイクロンウィップと言われた、ジャンピングアームドラッグ。ただの巻き投げをスーパーパフォーマンスに仕上げた。ドロップキック、バックハンドチョップ、ダイヴィングブレインチョップ、ハイクロスボディ、リヴァースフルネルソンツリー。
最高のベビーフェイスは最高品質のパフォーマンスを売る。100mをどれだけ早く走れるかの、純粋なパフォーマンスだ。シンプルなレスリングをスーパーパフォーマンスにしたから、最高のベビーフェイスと言われた。最高のベビーフェイスには最高のベビーフェイスに対する、最高級の敬意を払わねばならない。
ベビーらしいベビーというのは、実はいそうでいない、稀有な存在。物語のヒーローだからこそ、ベビーの称号を得る。ヒーロー役に対して、自分が少しでも目立とうなどとしては台無しになる。ベビーを圧倒的に目立たせ、その純粋な能力をフルに発揮させ、尚且つその中で自らも自然に目立てるヒールにだけ、チャンプの資格がある。リック・フレアーはその過程で、チャンプとしての腕を磨いて来た。
ジョージ・スコットには、スティムボートのような存在が、チャンプにとっての高壁の課題であり、最難のテーマであり、同時に究極の素材であることが分かっていた。だから長らくスティムボートは、スコットの切り札だった。
スコットはMACWを出た後、WWFの全米進行に参画。パイパー、オーンドーフ、ヴァレンタイン、そしてスティムボートを、JCPから引き抜いた。87年、ハルクとアンドレのポンティアック。あの歴史的な10万人の観客の前で究極の名勝負を披露したのは、スコットの切り札の方だったではないか。
89年、WCWの発進。ブッカーとチャンプの座を独占するフレアーが、まず最初にハナシを着けたのは、スコットだった。スコットをWWFから取り返し、スコットは、WWFからスティムボートを引き抜き返した。ルガーやスタニング・スティーヴに対しても、スティムボートはキングメーキングの切り札として立ちはだかってもくれた。
スティムボートは誰とでも好勝負をしたわけではない。しかし相手によっては究極を見せた。フレアーを目指そうという者は現れる。それはHBKでありトリプルHであり。しかしスティムボートと出逢うのは難しい。それを見抜いて引き合わす、ブッカーの力もまた。
リック・フレアーをネイチュアボーイにした男、ジョージ・スコット。彼もまたスティムボートとともに、フレアー史に欠かすことの出来ない人物であリ、この時期に思い起こして欲しい名前の1つである。
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