the Enterprising HORSEMAN (6) | HWD+e

the Enterprising HORSEMAN (6)

<前回から続く>


 それから2年半、噂が飛んだ。スラムボリー93に、ターリーがやって来ると。フレアーが帰って来てホースメンがリビルドされるのだ。ファンは実現期待の気持ちを込めて、ターリーが現れるというムードを盛り上げた。果してやって来たのは、・・・ ポール・ローマだった。アリーナは“We Want Tully”の大コールに包まれたという。


 ビショフか誰かにブックされただけのローマには気の毒な面もあったが、ファンが待っていたのはこの、タイトル的には何の実績もない、WWFからのドリフターではなかった。かつてフレアーの右腕としてホースメンを仕切った、世界で2番目に偉大な男だった。ドラッグをやっていたとしても、彼とのコアな時間は、消し去れようはずもない。ヤングスタリオンがホースメンマテリアルにないことなど、ナイツオブホースメンには分かり切っている。ホースメンはビジネス上の普通のユニットではないのだ。


 一年後、スラムボリー94。前年暮れに、チーフブッカーの座に返り咲いたフレアーは、遂にターリーをブックした。ターリーのリタイアから3年半、それは我々からの、せめてもの引退試合のプレゼントだった。テリー・ファンクとのレジェンドマッチ。流石のホースマン振りで、久々とは思えない動きだった。これが実質、メジャーでの最終戦となっている。


 ターリーはWCWで出来る力は残っていなかったのかもしれないが、これを機に、マット界に復帰。ECWでダグラスと、ブロードウェイの好勝負をやったあと、クロケットの新会社、WWNで、マッチメーカーに就任したりする。NWAチャンピオンシップレスリング。肩の筋肉がげそりとしていたとはいえ、どうせやるならば、世界王者ではないNWA王者ターリーは、あそこであって然るべきだったと思っている。どうせ死なない亡霊の管理。ホースメンによるマットワールド支配体制の完備。WCW入りさせないのであれば、せめてターリーにあのままNWAを仕切らせておけば・・・今だからこそ言える結果論のようなものになってはしまうが・・。


 ブッカー・フレアー体制下のWCW。水面下でのやり取りもあったろうクロケットのオポジション形式は不成立を余儀なくされ、結果ターリーもフェイドアウトして行く。後年の復帰。牧師との兼業かつ、布教とヴォランティア半分のマット活動。たまに、NWA・USタイトルを拵えてみたり、ホースメンぽいことを弄じたりするのは悪ガキの名残。


 ロードエージェントとしてWWEに入ってきたのは、CCW経由でのダスティの尽力か。JBLとの今になっての蒸返しで、当時のターリーのしたことを責める気持ちには、我々にはなれない。ターリーはフレアーの重要ピリオドになくてはならない人物。レジェンドコントラクトはしているといい、フレアー関係のDVDではすっかりお馴染みでもあるが、オリジナルホースメンのメジャーなシチュエーションなリユニオンには、おそらくこれが、最後の機会になるはず。これはあってしかるべきなのではないか。


 髪もすっかり無くなり、往年の“クール・バッドガイ”振りも大分失せたが、今でもやはり、ハンサムなターリー。表題のthe Enterprising HORSEMAN とは、ターリーが呼ばれていた、ニックネームのひとつ。たしかPWI誌のピンナップに、そう表記されていた記憶がある。USAネット、ヒューバーとの10本勝負、マグナムとのIQ・・・ ターリーはいつも我々の何歩か先を行っていた。無茶、無謀、いつも危険と背中合わせを包含しつつ。ターリーの行く所諍いもトラブルも付き物。しかしまたそれが、黙示録の赤い馬の魅力でもあった。


 JJやオレィなどと、イヴェントでなど再会もしているターリー。インディ系ではまだ元気に戦っている。リック・フレアーの重要ピリオドに欠かせないキャストのひとり。「史上最大の大巨人に、本当の意味で勝負を挑んだ唯一の男」。ケネディとMVPが悪企むというのなら、聞こえて来ていいはずだ、レッドホースマンと蒼褪めた馬の嘶くサウンドが。おそらく今、フレアーファンの誰もが、それを強く望んでいる。聞こえないなら聞こえるまで我々がまた叫ぼう。“We Want Tully”と!!


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