M.V.P. of the U.S. Championship | HWD+e

M.V.P. of the U.S. Championship

 ジャブボーイをあてがわれて連戦連勝。どこかで聞いたことのあるハナシは笑えない、か。


 全てを薙ぎ倒して、進めローマ軍。南部の暴れン坊の思想形態。明快な構図。アトラクションの風景を一変したことは、豪語に値するとのクリティックス。


 15年態依然。再び現れるマウスオブザサウスの“クリエイション”。76連勝でTVタイトルもタグタイトルもスキップ。レイヴェンの見事なバンプの上で、US戴冠。そして、独立記念のジョージアドーム。


 LODのような進撃過程と、ボールドヘッドと口髭の外観。それはつまり、良く言って、ニキタ・コロフとどこが違ったのか。だとするならゴールドバーグがあのように簡単に、センセーショナルに、ハルクを倒す光景もまた、あっていいものだったのかどうなのか。


 勿論、ニキタ・コロフがどんなに素晴らしいファイターだったかなど、我々は百も承知だ。USタイトルを腰に巻き、全盛期の王者フレアーを、追い詰めに追い詰めた。85年のバッシュでも86年のスターケードでも、名勝負をやった。


 MVPの体調の問題もあリ、このところ宙に浮くUSタイトルだが、ニキタ・コロフの時代、US王者は紛うことなき、世界へのNO.1コンテンダー。世界王者になる前のフレアーはこれを代名詞にし、レックス・ルガーはこれを4年間半独占し、王者フレアーに挑み続けた。世界チャンプがフレアーだったこともあるが、USを制すること自体、一握りの者にしか許されなかった。


 USタイトルが最高位だったレスラー、つまりIC経験もなく、世界王者になれなかった者の中でという意味で、ニキタは、史上最高のUS王者のひとりだと思っている。理由は勿論、全盛時のフレアーと、凄まじいタイトル戦を、何度もやっているからだ。


 もし、あの日のUS王者ニキタ・コロフがゴールドバーグと対峙したとして、ニキタがジャックハマーで海の藻屑にされようなど、考えられもしないし、ラシアンシックルがスピアー以下のパフォーマンスだなどとも、微塵も思わない。ゴールドバーグだけではない。シド、DDP、ナッシュ、ブッカー、スタイナー・・・大柄の男達が世界へ駒を進めようとする度に頭を過ぎるのは、あの日のUS王者ニキタ・コロフである。この者達は、スターケード86のニキタより優秀だろうかと。


 US王者に適う矢の進呈者ニキタ・コロフ。しかしそのニキタでも、世界王者にはなれなかったのだ。センセーショナルに突っ走ったゴールドバーグは、結局半年でナッシュに王座を明け渡した。そのナッシュとて、ブラックジャック・マリガン以上に思えるだろうか。ゴールドバーグやナッシュに世界王者が務まるのなら、ニキタやマリガンは、とっくの昔に、フレアーやレイスを倒していたに違いない。


 HBKの新しいDVDには、ワールドクラス時代の、BJHとの一戦が収録されているという。おそらく、19歳のショウンはジョバーロール。サマーソルトを決めてダブルピースを上げて見栄を切るショウンに、怪力ジャックのフルネルソンが決まり、失神させられるはずだ。しかし、我々は釘付けになるだろう。無残に敗れた若きショウンの方の、リック・フレアー的な何かに。我々レスリングファンになら、それが見て取れる。


 アルティメットギャンブルでも見た我々が、それでもわずか10年前にも見せられた風景。ラガーマンをテーズに壊された教訓も、今や何処、か。


WWE ブラッド レスリング
¥5,481