韓国映画「哭声／コクソン」

韓国映画「哭声／コクソン곡성」を昨日元町のシネリーブルで見てきました。

シネリーブルでは、水曜日はサービスデーで男女とも２D作品は大人１１００円で見ることができます。

朝一と言っても１１時４５分の回だったのですが、早めに行って席を決めてからご近所のジュンク堂までぶらついて立ち読みをしてから１１時になったので２階の家族亭で早めの昼食をとりました。
だって１５６分もあるので終わるのが１４時半…しかもホラーなのできっと食べられへん＾＾：
家族亭では、当日の半券を見せると１０％引いてくれます。
北風が強く寒かったので近くで軽くすませましたが、おいしかったです。

１０分前から入場可なのでトイレも済ませて戻ると一番奥の３番の箱前…
日本公開は２０１７年３月１１日（土）からだったので、まだ始まったばかりのほうなので、かなり混んでいました。

2時間半ってどんだけ長いねん～と思いましたが、怖くてとても途中で出られませんでした（苦笑）
お隣のおばさまたちが始まる前にお菓子袋をバリバリ開けて交換していたのですが、１５６分静かに身じろぎもせずご覧になってました。
うん、物なんて食べられへんでぇ～、だって次々と血のりべったり、惨殺死体の山ですもん！！！
ただ、序盤はのどかな風景もあって、クスリと笑わせるようなシーンも挟み込まれていて、見ている方は怖いだけじゃなくいい意味での緩急に引き込まれていきます。

館内は十分暖かったので、トイレは、がばがばお茶を飲んでも途中に立たずにすみました。
ちゅうか、怖がりなので、とてもやないけど、立たれへん←なんで韓国映画のホラーなんて見に来たんやろ。しょんぼり＾＾：

そら、主演がクァク・ドウォンさんと、ファン・ジョンミンさんだったから。
そして韓国の映画祭でも公正さで定評のある青龍映画祭で、韓国人以外で初めて助演男優賞と人気スター賞を受賞した國村隼（くにむらじゅん　１９５５年生・１７０cm）さんを見るためです☆

辞書を引くとこんな意味でした。
・慟哭する…悲しみのあまり、声をあげて泣くこと
・哭…大声で泣く
・哭声（こくせい　コクソン）…泣き叫ぶ声
・哭声≒涙声。涙交じりの声。

”哭”ってあまり使わない漢字なので行く前に調べたのですが
コクソン…舞台になった場所も同じ発音で”谷城”でした＾＾；
谷城警察署勤務のクァク・ドウォンさん演じるジョング（チョング）の周りで事件は起きていきます。
谷城警察署は全羅南道（チョルラナムド）谷城郡（コッソングン）谷城邑（コッソンウッ）にありつづら折りの続く道の果ての山あいの地ってイメージの所にあるようです。
谷城、ソウルから南に韓国の新幹線KTXで２時間ちょい+バスなので３時間余りの所だそうです。

作品の中で巡査部長の家の門に下げられていた草が気になったので調べると「キンギョソウ」だそうです。
キンギョソウの枯れた後はドクロに見えるそうです。ちなみに種もドクロだそうです。

☆「哭声／コクソン/原題：哭聲」곡성
英題：THE WAILING
２０１６　韓国　１５６分　韓国ではR１５
クランクインは２０１４年で、韓国公開は２０１６年５月１２日。
６８７万人超えで２０１６年の興行成績７位。

ここからざっくりあらすじです。ネタバレ注意！

序盤は、のどかな韓国の地方の風景とそこに暮らす人々が登場。
クァク・ドウォンさん演じる巡査部長一家は妻と義母と一人娘です。
雨の中、早朝から携帯に呼び出され身づくろいをする夫に何の事件か尋ねる妻に「殺人事件」とだけ答えて出かけようとすると義母が「死んじゃってるんだからご飯食べていきなさいよ」と声かけして結局ご飯を食べる巡査部長。
被害者は高麗人参農家の一家であることを聞き出す家族。
娘は軽口をたたくものの、お父さんが大好きな、ちょいとおませな女の子でしっかり者です。

豪雨の中、事件現場にたどり着いた巡査部長が見たのは一家皆殺しの凄惨な事件現場ですが、犯人はすでに逮捕されていて、関係者が泣き崩れる中を鑑識班も出動して、遠巻きにするご近所の住民たち。

間もなく次の惨殺事件も起こっていきますーー；

火事も起こっていたのでさらに大変なのですが遠巻きにした住民の中に見慣れないよそ者がいます。
相棒の巡査は、流れ者の日本人で、噂話でそいつが来てから事件は起こっていると言います…

現場保存のため相棒と座っていると石が何度も何度も投げられ、白い服を着た若い女が２人にちょっかいをかけてきます。皮膚科に相棒をやって１人になると女は話しかけてきて現場に入り込んで犯人を見たと言います。

巡査部長、実はとっても怖がりのビビリのおっちゃんなので、すぐに腰を抜かしたりへなへなとなってしまいます。

そしてその後日本人の出てくる悪夢にうなされます。

事件は、毒キノコを食べて幻覚に襲われて乱心の挙句殺人にまで発展したと結論付けられるのですが、その後も事件は続き、さらに小さな村は疑心暗鬼に包まれます。

やがて巡査部長の一人娘の身にも異変は起こり始めます。
義母は高名な祈祷師を呼びたいと言い、巡査部長もOKします。

祈祷師が来るまでのわずかの間にも事件は深刻化していきます。

巡査部長は、日本人の住む人里離れた一軒家に、日本語の話せる相棒の甥っ子と３人で訪ねていきます。
１匹の番犬だけがいて、助祭である甥っ子が止めるのを振り切って、巡査部長たちは留守宅に侵入し異様な写真と祭壇を見てしまいます。疑惑が深まったところに日本人は帰宅しますが、話はかみ合わず、さらに疑念は深まります。

祈祷師は簡単な聞き取りの後、娘を見て「これは大変な悪霊に取りつかれている、金がかかるけど大丈夫か？」と聞きます。

なんだかとっても胡散臭いファン・ジョンミンさんなのであります。
でもお医者さんにも見放された娘のためには、わらにもすがる気持ちでお金をかき集めてでもお願いするしかないと巡査部長一家は思いつめます。

大量の除霊のグッズを持ちやってくる大勢の除霊チーム。
団体でものすごーく気合の入った除霊を始めます。
ムーダンの衣装が何気に似合うファン・ジョンミンさん。

同じ頃山中では、ふんどしいっちょになった國村準さんが滝に打たれて禊の後、町で買い求めたニワトリなどのグッズで同じように儀式を始めます。

ここらへんから、メッチャ怖いシーンの連続です。
もっと事件は次々と起こっていて疑惑に次ぐ疑惑で怖いんです。

見るなら、ここからは見てからの方がいいと思います。
ネタバレ注意！！

ですが…
ラスト近くから妙なエクソシストモードに突入して話の方向性が揺らいできて、一気に残念なラストになってしまいます。
肩透かしというか、丸投げのラストです。
見た人の勝手にどーぞ的なええ加減さなのです。

土俗的なムーダン、キリスト教に出てくるような悪魔、日本的な密教に近いお祓いというか…
これら３つがなんともお粗末で。。。

俳優さんたちの力量も間違いないのですが、〆がいただけない。
なぜかというと、聖書の文言が何度も出てきますがそれが生かされていない。
日本の禊を滝で褌姿で打たせた後、祭祀を執り行わせているのに不浄の部屋。←滝の時は実は日本人はいい人だったんだと思ったのに一貫性のない不潔な雑然とした部屋でしかも妙な祭壇…どこの国の儀式やねん！
韓国の祈祷師のことはよくわかりませんが、高名なムーダンがいきなり勘違いしていたと泣き言を言うって、どーなの。勘違いするなんてありえないでしょ、それで飯食うとるんやろ、何十年も。

なんともラストの十数分がむなしくて。
それでもエンドロールの後何か絶対あると思ってましたが、そのまま明るくなりました。

単純に血のり大好きな方はホラーとしてなら面白いと思いますが、ミステリーとしては不完全です。
宗教的な部分、描く方の知識不足だからです。わざと曖昧にしたというにはお粗末。
毒キノコの幻覚説であったとしても、小学生がそんなアヤシイ健康食品食べる？！
食べたのなら家族全員湿疹出るでしょ…

クァク・ドウォンさんは序盤の気の弱いお巡りさんから段々といろんな禁を破って、疑心暗鬼となり暴力的な男になっていく様は、恐怖を増長させ、ラスト近くの問答する場面まで秀逸でした。
初主演作頑張りました＾＾

ファン・ジョンミンさんの祈祷師のうさん臭さも、見ている方はどーなっていくんやろと、ラスト近くまで面白さを引きだしていました。かなり登場は後半で少なかったのは残念です。

國村準さんの謎めいたよそ者の日本人。
見終わった後から思うと、噂話の部分もそうですが、皆の妄想の部分がほとんどで現実ではなかったのかもしれない…と思わんでもないのですが、全部体当たりの演技でした。
１９５５年生まれであの体力は凄い！
台詞が少なかったのは声も好きなのに残念でしたが、あの役は無口の方がええよね＾＾

娘を演じたキム・ファニちゃんは「最高です、スンシンちゃん」でソン・テヨンさんの娘役以来でしたが、随分お姉さんになっていてきれいになっていましたが、凄みもあって将来どんな女優さんになるのかなと思いました。

謎の女ムミョンを演じたチョン・ウヒさん、弱々しげであったり、怪しげであったり、正体を教えてほしかった。ムミョンもある意味よそ者っぽかったよねぁ…

★谷城警察署巡査部長ジョング（チョング）役