韓国映画「メモリーズ　追憶の剣」

イ・ビョンホンさんとチョン・ドヨンさんの時代劇「メモリーズ追憶の剣/原題：侠女（ヒョムニョ）：刀の記憶」협녀, 칼의 기억をHAT神戸１０９で見てきました。
神戸は２月２６日が最終日だったのですが、これから上映の地方もあるようなので、簡単にいっときます。

アクションはワイヤーアクションを多用。
「根の深い木」でチャン・ヒョクさんとイ・スヒョク君が、師匠のウ・ヒョンさんから伝授された術でスイスイと飛んでましたが、あれをもうちょいとオーバーにした感じです。

CGは、都などの鳥瞰図的なシーンで使われているのですが、バレバレでちょいと残念でした。
建物や調度品なども、どこの国？という中途半端感で、突っ込みどころ満載です。

色遣いは冒頭明るすぎて、なんだ？ちゅう感じでしたが、だんだん暗く地味に。
若いヒロインのキム・ゴウンさんの心理状態を表していたのでしょうね。

ただ、冒頭のひまわりのシーン…
ひまわりは北米原産で、他地域には新大陸発見以降なので少なくとも１６世紀以降しか生えているはずもなく、１４世紀末に滅んだ高麗には存在しません。

チョン・ドヨンさんは茶館の女主人で、イ・ビョンホンさんも昔の恋人の入れたお茶を懐かしむのですが、朝鮮半島には、中国や日本のようなお茶を飲む風習がありません。
高麗時代には若干飲む風習あったようですが、宮中やお寺などごく一部であったようです。
お茶、ほとんどが苦くて渋いものしか採れない気候だったのが原因のようです。
なので、延々続くお茶つながりの話は、リアリティがありません。
お茶と言いながらお茶以外の伝統茶が出ていたりしますしね…

こんな感じで重箱の隅をつつくまでもなく、ざっくりのフュージョン時代劇となっております。

また、ひまわりは夏だと思うのですが、ラストは雪のシーンでして、大怪我して修行し直したにしても、いつの間にこんなに進んだんや？！と、戸惑います。

さらに、秘密がどんどん明かされていく終盤のストーリーは、共感できる人は少ないのではないかなと思います。
ネタバレになってしまうので書きませんが、チョン・ドヨンさんとキム・ゴウンさんの気持ちがイマイチわかりにくい。

でも、画像は美しかったですし、中盤までは面白かったです。
それとイ・ビョンホンさんの前の時代劇「王になった男」がよかったので、ハードルを上げ過ぎていたのもあると思うので、お許しを。

☆「メモリーズ追憶の剣/原題：侠女（ヒョムニョ）：刀の記憶」
협녀, 칼의 기억
２０１３（公開は２０１５）　韓国　１２０分
※クランクインは２０１３年９月、クランクアップは２０１４年２月。当初は２０１４年１２月公開予定だったそうです。

あらすじです

時代は高麗（こうらい　918～1392）末。
「武神」や「武人時代」の頃なんだろうと思います。
高麗の王様にはすでに力はなく、武人たちが次々と時の権力者になっています。

市中のはずれや地方では貧しさに民があえいでいます。
そんな中、ペ・スビンさん、イ・ビョンホンさん。チョン・ドヨンさんの３人の剣士を中心に反乱が起こり、討伐に行った権力者の息子キム・テウさんが捕まります。
ぐるぐるまきにされた人質を押し立てて、民の声を聴いてもらおうと入城します。
が…イ・ビョンホンさんは裏切り、恋人だったチョン・ドヨンさんも仕方なく味方する形になり、ペ・スビンさんと、妻と幼い娘ホンイも殺されてしまいます。

それから十数年後…冒頭部分はここからです

とある村のひまわり畑で武術の練習をする少女。
大きなひまわりをジャンプで飛び越すことができたので、弟の制止を振り切り、都に出かけていきます。
都は、大勢の人と物であふれかえり、遠く中央アジアの商人の住む街もあったりします。
見るもの聞くもの珍しく、どんどん町の中心部に。
王宮の近くにある競技場では、腕自慢たちが戦っています。
イケメンの剣士、とっても強いのですが、少女は自分も戦ってみたくて顔を覆面で隠して乱入して、強引に手合わせをします。
若者２人、無言のまま意気投合します。
イケメンの剣士イ・ジュノ君は、時の権力者となったイ・ビョンホンさんのお気に入りだったようです。
イ・ビョンホンさんは、昔の恋人の太刀筋そっくりな少女が気になり、捕らえようとします。
しかし、するりと逃げてしまいます。
が、イ・ビョンホンさん追いついて、巧みな話術でそれとなく素性を聞き出し、逆に昔の恋人の思い出の品を少女に預けて逃がします。

都には決して行かないこと。
自分の名前は明かさないこと。
復讐のために２０歳まで修行を積むこと。
など、多くの約束と秘密を抱えた少女ホンイは、茶館の女主人チョン・ドヨンさんに、言いつけを破ったことがばれます。
危険を察知したチョン・ドヨンさんは姉弟に身を隠すように言います。

２０年近い昔にあった出来事を聞かされた少女は、剣とともに身を隠します。
でも、
苦し紛れにイ・ビョンホンさんについたウソ、弟の名前がもとで、弟は殺されてしまいます。

偶然２度目の出会いをした美剣士は、自分の出生の秘密を知り荒れる少女を介抱するうちに、初めて女であることに気づきます。

少女はホンイという名前ですが、ほんとはソリ。
演じたキム・ゴウンさんは決して美人さんではありませんが、ワイヤーアクション、楽しそうに飛びまくっていました。

美剣士は「２PM」イ・ジュノ君。
私はお初です。
うっすいお顔ですが、色白で肌も美しく、アクションも上手でした。

ここから出生の秘密も含めて二転三転していきます。

権力者となったイ・ビョンホンさんも昔の恋人が入れたお茶の味を懐かしみ、眼の光を失ったチョン・ドヨンさんも憎み切れず実は愛し続けています。

生まれた時から復讐だけを叩き込まれた少女は、何度か決意を翻すこともできましたし、私は終盤さらに秘められた真実を知った時、翻すべきだと思いましたが、復讐のために宮中にやってきます。

ひと時も外すことのなかった鎖帷子（くさりかたびら）を脱いだイ・ビョンホンさんの目はなぜかホッとした穏やかなものに変わっていました。

そしてラストのアクションシーン延々続きます。

雪の中のラスト、哀れですが、なぜか幸せに見えてしまいました。

私はこのお話、もう少しよく練れていたら、映像も美しく、グッと来たに違いないと思うのですが、どうにも、自己中の親世代（お師匠様も含む）が納得できず、辛口評価となりました。

イ・ビョンホンさんお好きな方は、魅力的で素敵でしたので、機会があればご覧になったほうがよろしかろうと思います。

「２PM」イ・ジュノ君のファンの皆さま、歌手の時のジュノ君知りませんが、この作品のジュノ君は格好いいので是非。
アクションもキレがありますし、お衣装も似合っています。
ほんの一瞬上半身裸のサービスショットありますし、淡い初恋的なキスシーンもきれいに撮れていたと思います。
ピ君を整った感じにしたイ・ジュノ君、独特の雰囲気があって、声もいいですし、俳優としてのこれからが楽しみですね。

ペ・スビンさん、ほんの少し出てきます。

キャストのプロフィール、今回あまりありませんでしたが、太字をクリックすると読めますので、よければどうぞ。

☆賤民ドッキ/のち最高の武臣ユベク役