韓国映画「尚衣院-サンイウォン」

昨日、HAT神戸の１０９で、11月7日から公開が始まった「尚衣院-サンイウォン」상의원を見てきました。
平日朝一１０時４０分の回でしたが、濃霧が出ていて、見通しが悪かったので早めに出たら、ずいぶん早く着いたので、まずいなぁーと思ったのですが、受付がとても混んでいてちょうどいい時間になりました。
箱は小さかったのですが、「尚衣院」は、ロビーほどは混んではいませんでした。

そうそう、人数限定だと思いますが、もぎりの時に、絵葉書をもらいました＾＾
制作費７２億ウォンのうち１０億ウォンが衣装代だったとか…うん、絵葉書の衣装も豪華。

☆「尚衣院-サンイウォン」상의원
２０１４　韓国　１２７分。　時代劇

架空設定ですが、李氏朝鮮時代の王様や王妃様、王族の衣装を担当する宮中の中の尚衣院というところが舞台の中心です。
お話の始まりと終わりは現代です。
架空設定のお話に持ってくるのは、違和感がありました。
そして、フュージョンであったとしても、真実味が感じられなくなってしまい残念。

主演のコ・ス君、初時代劇だったそうです。
のびのびと天才肌のデザイナーを演じていました。
序盤は動きがあって自由人らしいですし、女たらしなのですが、憎めない職人です。
妖艶で経営術にも長けた妓生のシン・ソユルちゃんが経営する妓房を根城にしています。
腕は確かで発想は斬新。
デザイン画を描いたり、現代人のようです。

ハン・ソッキュさんは、王様の衣装を仕立てる尚衣院のトップです。
売り飛ばされるようにして宮中に連れてこられてコツコツと３０年、指や爪の形が変わるほど努力を重ねて３代の王に仕えて、あと半年で両班という貴族の身分になれるところまで来ています。
自宅には多くの重臣が訪れにぎわっていますが、家族がいるわけでもないようで、チョ・ダルファンさん演じる下僕と２人で慎ましく暮らしています。
宮中の礼やしきたりを重んじていて、刺繍の腕は特に素晴らしいものを持っているようです。

コ・ス君の暮らす高級妓房には身分の高い人々が大勢やってきます。
マ・ドンソクさんは、尚衣院を統括する高官のようなのですが、コミカルに演じていて、笑わせてくれます。
妓房での小さな事件をきっかけに、コ・ス君を宮中に連れていくことになります。
その小さな事件の時にパク・コニョンさんが、ちょっぴり出てきます。

王様を演じているのは「応答せよ１９９４」のユ・ヨンソク君。
前の王様は兄なのですが、腹違いです。
お母さんの身分が低いところから、兄が世子となった幼い日からいつも心に傷を受けるような扱いを受けてきます。
また王になる時自分を担ぎ上げた老獪な重臣たちに、今も仕事の面でもプレッシャーを受けています。
それらが原因で、自分のものは今まで何１つなかったと思い込んでいます。

兄が世子の頃、花嫁選びの日に見かけた１人に一目ぼれしますが、兄に気づかれてしまいます。
兄からのプレゼントのような形で妻をあてがわれます。
本当に好きな相手であったが故に深く傷つき、そのコンプレックスから、王になった今も愛する王妃に近づくことができません。

もう少し詳しいあらすじです。
ストーリーの順ではありません。ネタバレ注意！

若くして兄王が亡くなり、３年の喪が明けるところから始まります。

白装束から新調した礼服に着替えてユ・ヨンソク君、重臣の前に現れます。
若き王は、自分を王にした家臣たちの束縛から逃れたいと思っていますが、まず中国からの使節団を迎え自分を認めてもらわねばなりません。
そういう大切な時期に心優しい王妃は、王様の心の傷を癒し支えたいと思っていますが、学があっても控えめでどうすればよいかわかりません。

王妃はパク・シネちゃん。
品があって賢く慎み深く、凛とした美しさも備えています。
女官のミスで王様の服を焦がしてしまい、困っていた時に窮地を救ってくれたのがコ・ス君。
まず腕前にほれ込みます。
やがて、粗野ではありますが、率直で何事にも情熱的なコ・ス君に心を開き、愚痴ったりするようにもなります。

王様もコ・ス君の作る衣装が気に入り、次々と作らせます。
ハン・ソッキュさん、心中穏やかではありません。
でもコ・ス君の無邪気な一面も知るようになり、腕前の確かさと、自分を尊敬してくれ慕ってくれる面を感じ、警戒を解いていき、宮中の恐ろしさを注意してやったりするようになります。

その間にも、多数派の権力者チームの推す側室が新たに宮中に入り、王妃の座を脅かします。
憎らしい側室は、キョン・ミリさんのお嬢さんのイ・ユビちゃん。
キュートさは封印して、辛抱のない横暴な側室をうまく演じています。
随分大人っぽくなりました。
美しいが、品もなくて王様をたぶらかしていきます。
哀しみに耐える王妃のパク・シネちゃん。

代わりに、それに対抗していくのが、コ・ス君。
転がり込んでいる妓房のオーナーで妓生のトップのシン・ソユルさんに、どうしたらいつまでもトップの座を守れるのか聞きます。
そしてヒントを得て…
セクシー系のお衣装を次々と女官に着せて王様をその気にさせて、次々とお手付きにさせ、側室から遠ざけます。
評判を聞いた高官たちも注文にやってきます。
やがて市中にまでセクシー系や、機能性の優れた新しい衣装があふれます。

王妃を追い落とそうとする一派の策略や、中国からの使者に認めてもらえるかどうかという政治的に微妙な時期のわずかな期間のお話のようですが、季節感がほとんどなくて、時間の流れがわかりにくくて、気づくのが遅くなり、もやもやしている時間が多くて残念でした。

今回、感想辛口です

攻防戦、落ちの部分が、ありきたりで、ハッピーエンドとも言えず、しかも誰も幸せになれていない中途半端なところで終わってしまいました。
韓国映画の一番あかん作りの作品であったと思います。
俳優さんは、本当に皆、頑張っていたと思います。
もうちょいとストーリーや演出がよければ、凄くいい作品になったと思います。

それと”尚衣院”というタイトルであるなら、少なくとも、どの時代の王様の頃か設定しないと。
１４世紀から２０世紀まで同じ素材やスタイルということはあり得ないのですから…
時代考証なしならなしで、ある程度するならそれなりにしないと、面白くないですよね。

最後のほうの王妃の髪型からいくと、英祖か正祖あたりかなと思いますが、清国の使節団との公式の宴で、側室に妓生の髪型はいくらなんでもあり得ないと思います。

重箱の隅つつきのお好きな方には、突っ込みどころ満載です（爆）

俳優さん一人一人は本当に素敵でした。
コ・ス君、最後まで格好よかったです～☆

ユ・ヨンソク君の憂いに満ちた顔も、ちょっと男の下心むき出しの表情もいいですし、怒り爆発寸前の哀しみまじりの狂気の入った表情もうまいです。

パク・シネちゃん、物凄く重い鬘（公称２０キロ）とお衣装だったのではないかなと思いますが、美しくよく似合っていました。
クライマックスの衣装は、１５枚重ねで４０キロほどあったそうです。

イ・ユビちゃん、尚宮に殴られるシーン、大変そうでした。

シン・ソユルちゃん、もっとセクシーシーン見てみたかったなぁ（笑）

マ・ドンソクさんとチョ・ダルファンさん、いい味出してました。

ハン・ソッキュさん、いろんな姿を魅せてくれました。

キャスト（濃い字をクリックするとプロフィールに飛びます）

☆王の衣服を手掛けてきた当代最高の匠チョ・ドルソク役