最寄駅まで徒歩30分かかる丘の上に住んでいる並木。
普段はバスで横浜駅まで出るのですが、
そのバスが本日は2時間待ちでした。びびった。
(昨日は7時間待ちだったらしいが)

近所では衝突事故が多発し、置き去りの車もそこかしこに見られる中、
バス待ちはアリエナイ長蛇の列。
その列の前で、バスの小さなロータリーに溜まった氷をスコップで搔き除ける
1人のおじさんがいました。


無言で勢い良くバス停前の氷をかち割り、すくい取って路肩に投げ、
バスが停まるべき場所への道を作っていくおじさん。
彼を前にして、ひたすら突っ立ってバスを待つ数十人。


何だか変な風景。腑に落ちない風景。


もしおじさんがバス会社の人だったら
このモヤモヤはストンと消えるのに、と思って聞いてみたら、
おじさんは隣のアパートに住む、本当にただのおじさんでした。

それじゃ私も、と思ってスコップを代わりましたが大して役に立たず、
私は結局バス停前に座り込んで、働くおじさんを眺めながら思いました。




私が家から通ってきた道の、氷がなくて安心して通れる飛び石のような場所も、
おじさんみたいな誰かが、汗水たらして雪を除けていてくれたんだ。



考えてみれば、当たり前のことです。
太陽が同じ時間だけ照らす場所なのに、
こっちは綺麗に融けてあっちは融けない、なんてことはない。
太陽のあたたかさだけじゃ、皆が通りやすい道は戻って来ないんです。



そう思ったら、薄灰色の雪と氷の中に浮かぶアスファルトの黒い小島たちが、
とてもあたたかく、愛しく見えました。
それは、感謝の言葉を期待するでもなく、なんやかんやと文句を言いながらも
身体を動かしてしまう、誰かのあたたかい心の証なのでした。