鏡面に映ゆ 裄(ゆき)丈は合はねど亡母の絽(ろ)の着物 桔梗の模様が鏡面に映ゆ 夏の土用の虫干しの頃になると着る事ことの少なく なった着物などを風通しよく干します 中でも亡母の 紺地にぼかしの所に紫と白の桔梗模様のきものが好き で袖を通し前見頃をきちんと合わせ衿もともシャキ つと調え姿見の鏡に向かう 袂をそっと腕のせ 横を 向いたり後ろを見たり 鏡に映る姿が亡母に重なり 遠い記憶を覚まします