その男は悪魔になった
毎日毎日耳元で囁かれたのだ
『お前は神だ』と。
はじめは耳を塞いでいた男も
次第にコトバを囁く悪魔が見えるようになった
『お前は神だ、だから何だってできるんだ、お前は神なんだからな』
片手に包丁を、もう片手にはサバイバルナイフを握った
黒いスーツに身を包む
まるで男自身が悪魔になったかのように
正義を嘲笑うかのように
崩壊してゆく国の最後を見るかのように
通り過ぎる人々を容赦なく切り付けた
「俺は神になったんだ」
血で海を作り上げた
男は満足気に呟いた
悪魔が男に言った
『お前は神じゃない、悪魔だ』と。