■第964回 食品安全委員会
日付:令和6年12月3日(火)
議題
(1) 食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について
・農薬8品目(消費者庁からの説明)
アクリナトリン
インピルフルキサム
クロフェンテジン
スピロピジオン
スルホキサフロル
フルチアニル
マンジプロパミド
・「プロパモカルブ」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(3) 動物用医薬品専門調査会における審議結果について
・「プラレトリン」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(4) 食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について
・動物用医薬品「ワクチン添加剤(ベンジルペニシリンカリウム)」に係る食品健康影響評価について
(5) その他
審議の内容
(1) リスク管理機関からの説明
内閣総理大臣から、11月27日付けで農薬8品目について食品健康影響評価の要請があり、今回説明を受けました。
アクリナトリンについては、過去に評価したことがあります(2018年2月27日付けで第1版を答申)。この農薬をアボカドにも使用したいとのことです。
インピルフルキサムについても、過去に評価を行っています(2022年12月14日付けで第2版を答申)。この農薬をやまのいも、にんにく等にも使用したいとのことです。
クロフェンテジンについても、過去に評価しています(2016年9月6日付けで第2版を答申)。この農薬を使用したホップ(米国)を輸入する計画があるとのことです。
スピロジクロフェンについても、過去に評価しています(2012年4月19日付けで第1版を答申)。この農薬を核果類、びわ以外の仁果類にも使用したいとのことです。
スピロピジオンについては、かんきつ、ばれいしょ等に用いる新たな農薬として登録申請があったとのことです。
スルホキサフロルについては、過去に評価しています(2021年8月31日付けで第2版を答申)。この農薬をねぎにも使用したいとのことです。
フルチアニルについても、過去に評価しています(2021年3月16日付けで第4版を答申)。この農薬を使用したホップ(米国)を輸入する計画があるとのことです。
マンジプロパミドについても、過去に評価しています(2021年2月16日付けで第5版を答申)。この農薬をはなやさい類にも使用したいとのことです。また、この農薬を使用したかんしょ(米国)、パパイヤ(ブラジル)等を輸入する計画があるとのことです。
上記のうち、「アクリナトリン」、「インピルフルキサム」、「スルホキサフロル」及び「フルチアニル」については、追加試験としての作物残留試験の結果とばく露評価の結果が合わせて報告されていますが、その結果、新たに安全性について懸念されるような知見は認められませんでした。このため、評価書の改訂は行わず、既存の評価結果を変更するものではないことから、国民からの意見・情報の募集を実施することなく、以下に示す評価結果を内閣総理大臣に通知することとしました。
・「アクリナトリン」は、許容一日摂取量(ADI)を0.016 mg/kg体重/日、急性参照用量(ARfD)を0.03 mg/kg体重、
・「インピルフルキサム」のADIとして0.06 mg/kg体重/日、ARfDとして0.3 mg/kg体重、
・「スルホキサフロル」は、ADIを0.042 mg/kg体重/日、ARfDとして0.25 mg/kg体重、
・「フルチアニル」は、ADIを2.4 mg/kg体重/日、ARfDは設定する必要がない、
これら以外の「クロフェンテジン」及び「スピロジクロフェン」については農薬第二専門調査会において、「マンジプロパミド」については農薬第四専門調査会において、「スピロピジオン」については農薬第五専門調査会において、それぞれ審議することとしました。
(2) 農薬第三専門調査会の審議結果
○「プロパモカルプ」
「プロパモカルブ」については、2024年2月7日付けで農林水産大臣から、農薬取締法第8条第4項に基づき行われる農薬の再評価の要請があったことから、農薬第三専門調査会で審議を行ったものです。
評価要請に際して、農林水産省から新たに提出された作物残留試験(ばれいしょ)、90 日間亜急性毒性試験(ラット)、2 世代繁殖試験(ラット)及び遺伝毒性試験の成績、公表文献報告書等も考慮して評価を行いました。
各種試験結果から、農産物中のばく露評価対象物質をプロパモカルプ塩酸塩(親化合物のみ)と設定した上で、ADI=0.12 mg/kg 体重/日、ARfD=0.2 mg/kg 体重とそれぞれ設定しました。
この審議結果(案)については、12月4日(水)から令和7年1月2日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。
(3) 動物用医薬品専門調査会の審議結果
「プラレトリン」については、動物用医薬品として既に承認されていますが、企業から畜・鶏舎等における使用方法の変更に向けた申請があり、2022年12月14日付けで厚生労働大臣(当時)より食品健康影響評価の要請があったことから、動物用医薬品専門調査会で審議を行いました。
今回クロチアニジン及び d・d-T80-プラレトリンを主剤、ピペロニルブトキシドを共力剤として含有する畜舎噴霧剤(ヌーベルショット、トリプルアクセル)の製造販売承認申請資料等を用いました。
これらにある各種毒性試験の結果から、ADI=0.025 mg/kg 体重/日(d/d-T80-プラレトリンとして)と設定しました。
この審議結果(案)については、12月4日(水)から令和7年1月2日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。
(4) 食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について
○ 動物用医薬品「ワクチン添加剤(ベンジルペニシリンカリウム)」
本成分を、野生いのししに対する豚熱経口動物用ワクチンの添加剤として使用することについて、本年10月23日付けで、農林水産大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、動物用医薬品専門調査会で審議を行ったものです。
本成分について審議を行った結果、以下のとおり確認されたことから、動物用ワクチンの添加剤として使用される限りにおいて、人への健康影響は無視できるものと判断しました。
・動物用ワクチンの添加剤としての本成分の 1 用量中の含有量(32単位、ベンジルペニシリンとして 19.2 µg)は、食品安全委員会及び JECFA において、人に重大な危険は及ぼさないと判断されたベンジルペニシリンの一日摂取量 30 µg/人を下回っていること
・また、人用医薬品の1回分の投与量(30~60万単位)の約5/100,000~10/100,000 であり、本成分を含む動物用ワクチンが哺乳類動物や家きんに接種された場合には、本成分は速やかに吸収、排泄され、畜産物に残存する可能性はほとんど無いと考えられること
なお、本件については、食品安全基本法第11条第1項第2号の「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるとき」に該当すると認められることから、意見・情報の募集は行わずに農林水産大臣に通知することとしました。
(5) その他
最後に委員長から、本年7月30日の第949回食品安全委員会において農林水産省から再評価に係る評価要請があった、農薬3品目「イソプロチオラン」「チアジニル」及び「ベンゾビシクロン」について、「イソプロチオラン」については、農薬第五専門調査会において、「チアジニル」及び「ベンゾビシクロン」については、農薬第三専門調査会において、それぞれ調査審議するよう指定したとの報告がありました。
当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。
https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20241203fsc