■第948回食品安全委員会

日付:令和6年7月23日(火)
 

議題

 

(1)  動物用医薬品専門調査会における審議結果について

・「ジブチルサクシネート」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

・「ノルジェストメット」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

(2)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・遺伝子組換え食品等「JPBL015株を利用して生産されたトランスグルタミナーゼ」に係る食品健康影響評価について

(3)  ファクトシートの作成について(報告)

・アレルゲンを含む食品(総論、牛乳、小麦)について

(4)  その他

 

審議の内容

 

(1)  動物用医薬品専門調査会における審議結果

 

○ 「ジブチルサクシネート」、「ノルジェストメット」

 

「ジブチルサクシネート」は昆虫嫌避剤、「ノルジェストメット」はホルモン剤として、それぞれ利用される動物用医薬品です。

これらの製剤は、ポジティブリスト制度導入時に暫定基準が設定されており、2020年3月17日付けで厚生労働大臣から、これらがリスク管理措置として妥当かについて食品健康影響評価の要請があったことから、動物用医薬品専門調査会で審議を行ったものです。

 

「ジブチルサクシネート」については、各種毒性試験の結果から、最小無毒性量(NOAEL) がウサギを用いた発生毒性試験でみられた 300 mg/kg 体重/日でした。また、現行のリスク管理における体重(1 kg)当たり及び 1 日当たりの推定摂取量は、最大と試算された幼小児(1~6 歳)で 0.0013 mg/kg 体重/日と算定されました。

 

したがって、体重(1 kg)当たり及び 1 日当たりの推定摂取量と NOAEL との比較による ばく露マージン(MOE) は約 240,000 であり、評価に用いた資料には亜急性毒性試験、慢性毒性/発がん性試験及び生殖毒性試験が不足していることを考慮しても、NOAEL と現行のリスク管理を基にした推定摂取量には十分な余裕があると判断されたことから、現行のリスク管理の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響は無視できる程度と判断しました。

 

「ノルジェストメット」については、各種提出資料から、許容一日摂取量(ADI)について、より多くの情報を用いた欧州医薬品庁(EMA)の評価結果である 0.01 μg/kg 体重/日を利用することとしました。また、現行のリスク管理における体重(1 kg)当たり及び 1 日当たりの推定摂取量は、最大と試算された幼小児(1~6 歳)で 0.00043 μg/kg 体重/日と算定されました。

 

したがって、現行のリスク管理をもとにした推定摂取量は  ADIを超えません。なお、EMA の評価においては、慢性毒性/発がん性試験の不足による追加の安全係数は付与されていませんが、この ADI と現行のリスク管理における推定摂取量には幅があり、係数の追加を考慮したとしても問題ないと判断されたことから、現行のリスク管理の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響は無視できる程度と考えられました。

 

これら動物用医薬品二剤の審議結果(案)については、7月24日(水)から8月28日(水)までの36日間、意見・情報の募集を行います。

 

(2)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・遺伝子組換え食品等「JPBL015株を利用して生産されたトランスグルタミナーゼ」に係る食品健康影響評価について

 

「JPBL015株を利用して生産されたトランスグルタミナーゼ」は、生産性の向上を目的として、Bacillus licheniformis Ca63 株を宿主とし、Streptomyces mobaraensis NBRC 13819 株由来の組換え遺伝子の導入等を行ったJPBL015 株を利用して生産されたトランスグルタミナーゼです。

2024年2月7日付けで厚生労働大臣から、遺伝子組換え食品としての安全性について食品健康影響評価の要請があったことから、遺伝子組換え食品等専門調査会による審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

寄せられた意見を踏まえて一部字句を修正した上で、専門調査会の結論と同様に、挿入遺伝子の供与体、挿入される塩基配列が明らかであること等の挿入遺伝子の安全性及び挿入遺伝子から産生されるタンパク質の毒性、アレルギー誘発性等について確認した結果、従来の添加物と比較して新たに安全性を損なうおそれのある要因は認められなかったことをもって、人の健康を損なうおそれはないと判断して、内閣総理大臣に通知することとしました。

 

(3)  ファクトシートの作成について(報告)

 

事務局より「アレルゲンを含む食品」について、2016年に、食品健康影響評価に向けて情報収集を行っていくこととされた経緯等を踏まえて調査事業を実施し、今回「アレルゲンを含む食品(総論、牛乳、小麦)」のファクトシートを作成したとの報告があり、主な内容について説明がありました。

このファクトシートについては、7月23日より食品安全委員会のホームページで公表しています。

https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/allergen.html

 

(4)  その他

 

○ 食品安全委員会の運営について(令和6年4月から6月まで)

 

令和6年4~6月期の食品安全委員会の運営実績について、食品健康影響評価、リスクコミュニケーション及び食品安全情報の収集等の項目ごとに実績をとりまとめ、委員会に報告しました。

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20240723fsc