■第936回食品安全委員会
日付:令和6年4月2日(火)
議題
(1) 肥料・飼料等専門調査会における審議結果について
・「アナカルド酸」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(2) 生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の施行に伴う食品安全委員会決定の一部改正について
(3) その他
審議の内容
(1) 肥料・飼料等専門調査会における審議結果
アナカルド酸については、農林水産大臣からの牛用飼料として飼料添加物の指定に係る意見聴取を受けた厚生労働大臣から、昨年8月31日付けで食品健康影響評価の要請がありました。
当該成分については、カシューナッツの殻液(CNSL)の主成分であるアルキルフェノールであることから、「食品衛生法第13条第3項の規定に基づき、人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質」への該当の是非を問われており、肥料・飼料等専門調査会で審議を行いました。
以下の理由から、同専門調査会は、アナカルド酸は飼料添加物として通常使用される限りにおいて、食品に残留することにより人の健康を損なうおそれのないことが明らかであると判断しました。
・亜急性毒性試験の結果、血液及び腎臓に関する毒性所見が雌のみで認められ、NOAEL は雌では 600 mg/kg 体重/日、雄では最大用量である 1,000 mg/kg 体重/日と判断したこと
・アナカルド酸を用いた慢性毒性試験及び発がん性試験は実施されていないが、本成分の残留性が低いこと、同成分を含むカシューナッツの食経験があることを踏まえ、懸念される慢性影響は亜急性毒性試験の結果をもって確認できること
・アナカルド酸を用いた生殖発生毒性試験は実施されていないが、本成分の残留性は低く、同成分を含むカシューナッツの食経験において生殖機能や次世代への毒性影響の報告はないこと
・国内では 2012 年より、アナカルド酸を含む CNSL が飼料原料として家畜に使用されており、当該飼料原料を使用した家畜及びその生産物について、これまでに安全性に関する問題は報告されていない。また、カシューナッツの仁部分にも含まれる成分として、これまでの食経験があることに加え、アナカルド酸を含む CNSL を牛に混餌投与しても、組織、乳汁等からアナカルド酸等のアルキルフェノール成分が検出されていないことを考慮すると、食品を通じて飼料添加物由来のアナカルド酸を人が過剰に摂取することはないと考えられたこと
この審議結果(案)については、4月3日(水)から5月2日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。
(2) 生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の施行に伴う食品安全委員会決定の一部改正について
事務局より、「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律」及び「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整理等に関する省令」が令和6年4月1日に施行され、食品衛生基準行政が厚生労働省から消費者庁へ移管されたこと等に伴い、食品安全委員会が決定した文書について必要な改正を行う旨報告があり、案のとおり了承されました。
(3) その他
食品安全委員会では、平成27年に「いわゆる『健康食品』に関する報告書をとりまとめ、19項目のメッセージを発信するとともに、昨年3月にも「健康食品による健康被害を防ぐために」というセミナーを開催するなど継続的にリスクコミュニケーションに取り組んできたところです。
今般、紅麹使用食品に関し健康被害が発生している事案について、関係閣僚会議や、消費者庁、厚生労働省、農林水産省及び国税庁をメンバーとする関係省庁連絡会議が設置・開催されていること、3月27日に、消費者及び食品安全担当大臣の下に「紅麹使用食品への対応に関する消費者及び食品安全関係連絡会議」が設置・開催されたことについて報告がありました。さらに、この中において、まずは消費者庁と食品安全委員会で情報を共有し、連携して取り組んでいくこと、今後事務局として、消費者庁等としっかりと連携しながら、情報収集等に努めていく旨報告がありました。
当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。
https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20240402fsc