■第930回食品安全委員会
日付:令和6年2月20日(火)

議題

(1)    動物用医薬品専門調査会における審議結果について
・「ランピースキン病生ワクチン(Bovilis Lumpyvax-E)を接種した牛に由来する食品の安全性」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(2)    食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について
・遺伝子組換え食品等「チョウ目害虫抵抗性及び除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ(DP910521)」に係る食品健康影響評価について
(3)    研究不正事案に対する措置について
(4)    その他

審議の内容

(1)    動物用医薬品専門調査会における審議結果

○ ランピースキン病生ワクチン(Bovilis Lumpyvax-E)を接種した牛に由来する食品の安全性

家畜伝染病予防法に基づく届出伝染病に位置付けられているランピースキン病について、これまで国内では発生は確認されていないものの、近年韓国等の近隣諸国で発生が継続していることを受けて、同病の予防に向けたランピースキン病生ワクチン(Bovilis Lumpyvax-E)の輸入・備蓄に向けて、本年1月17日付けで農林水産大臣より食品健康影響評価の要請があったことから、動物用医薬品専門調査会で審議を行ったものです。

同専門調査会は、以下の理由から本製剤が適切に使用される限りにおいて、本製剤を接種した牛に由来する食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できる程度と判断しました。
・主剤であるランピースキン病ウイルス(LSDV) Neethling株は、人に対する病原性はないと考えられたこと
・本製剤の添加剤等は、その使用状況、既存の毒性評価及び本製剤の用法・用量を考慮すると、本製剤の含有成分として対象動物に使用され、それを摂取した場合の人の健康影響は無視できる程度と考えたこと
・安全性試験及び臨床試験等において、本製剤又は同じくLSDV Neethling株を主剤とするLumpyvaxの接種に起因する牛への影響として、ごく低率で軽微な影響は見られるものの、特に問題となる所見は見られなかったこと

この審議結果(案)について、2月21日(水)から3月21日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

(2)    遺伝子組換え食品等専門調査会における審議結果

チョウ目害虫抵抗性及び除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ(DP910521)は、食品や飼料として従来のトウモロコシと同じ目的・方法で使用されるものであり、遺伝子組換え食品及び飼料としての安全性について、厚生労働大臣及び農林水産大臣それぞれから食品健康影響評価の要請があったことから、遺伝子組換え食品等専門調査会において審議を行いました。

食品については、同専門調査会における審議を経て、パブリックコメントの手続きを行った結果1件の意見が提出されましたが、非組換えトウモロコシと比較して新たに安全性を損なうおそれのある要因は認められなかったことから、人の健康を損なうおそれはないと判断し厚生労働大臣に通知することとしました。

また飼料については、食品としての安全性評価を受けて、
・本系統では、新たな有害物質が生成されることはないため、肉、乳、卵等の畜産物中に新たな有害物質が移行することが考えられないこと、
・遺伝子組換えに起因する成分が畜産物中で有害物質に変換・蓄積される可能性や、家畜の代謝系に作用し、新たな有害物質が生成される可能性は考えられないこと
などから、改めて安全性評価を行う必要はなく、当該飼料を摂取した家畜に由来する畜産物については、人の健康を損なうおそれはないと判断して、パブリックコメントの手続きを行うことなく農林水産大臣に通知することとしました。

(3)    研究不正事案に対する措置について

令和5年11月に、国立医薬品食品衛生研究所審理委員会が、同研究所の食品衛生管理部長が食品安全委員会の研究委託費を受けて行った研究の成果を用いて執筆した論文に対して、研究不正(捏造及び改ざん)を認定したことを受けて、2月14日付けで、当該部長及び国立医薬品食品衛生研究所に対し、「研究活動における不正行為への対応指針」(平成29年7月3日内閣府食品安全委員会事務局長決定)等に基づく措置を講じた旨、事務局より報告がありました。

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。
https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20240220fsc