■第927回食品安全委員会
日付:令和6年1月30日(火)

議題

(1)    添加物専門調査会における審議結果について
・「メチルセルロース」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(2)    食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について
・農薬「スピロテトラマト」に係る食品健康影響評価について
・農薬「ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネート」に係る食品健康影響評価について
(3)    その他

審議の内容

(1)    添加物専門調査会における審議結果

食品の結合材等として使用されるメチルセルロース(MC)の規格基準改正の検討に際し、2023年5月30日付けで厚生労働大臣より食品健康影響評価の要請があったことから、添加物専門調査会で審議を行ったものです。

同専門調査会は、MCには遺伝毒性がなく、許容一日摂取量(ADI)を設定できるとしました。そして、
・使用基準改正後のMCの摂取量は、過大な見積もりではあるが、1.1 mg/kg 体重/日と推定されること
・MCはほとんど吸収されないこと
・ヒトが250 mg/kg 体重/日を23日間摂取しても毒性影響は認められていないこと
・ラット3世代生殖毒性試験の最高用量の5%から算出したMCの摂取量である690 mg/kg 体重/日までは、実験動物において毒性影響が認められていないこと
から、MCが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを特定する必要はないと判断しました。

この審議結果(案)については、1月31日(水)から2月29日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

なお、委員より、MCに類似する加工デンプンについて過去に評価した際にモニタリングや低減化に向けた取組について提言しているが、その後のリスク管理機関の対応状況について質問があり、次回の審議の際に厚生労働省から説明を行うこととなりました。

(2)   食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

〇 農薬「スピロテトラマト」

「スピロテトラマト」については、過去に評価しています(2018年5月22日に第4版を答申)。企業からこの農薬をだいこん、ねぎにも使用したいとの申請を受けて、2023年11月21日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、農薬第五専門調査会において審議を行ったものです。
各種試験の結果から、農産物及び畜産物における暴露評価対象物質をスピロテトラマト(親化合物のみ)とした上で、ADI=0.12 mg/kg 体重/日、ARfD=1 mg/kg 体重と設定しました。
この審議結果については、これまでの評価結果を変更するものではないことから、意見・情報の募集は行わずに厚生労働大臣に通知することとしました。

○ 農薬「ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネート」

「ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネート」については、過去に評価したことがあります(2019年8月27日に第2版を答申)。企業からこの農薬をらっかせいにも使用したいとの申請を受けて、2023年11月21日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請がありました。
改訂に際して、厚生労働省より作物残留試験(らっかせい)のほかに皮膚刺激性試験の結果が提出されましたが、過去の評価で既に考慮されており、既存の評価結果に影響を及ぼすとは認められないことから、専門調査会による審議を経ることなく、今回委員会で審議したものです。
委員会は、毒性試験の結果から、グループADI=0.004 mg/kg 体重/日、グループARfD=0.1 mg/kg 体重と設定しました。

この審議結果については、これまでの評価結果を変更するものではないことから、意見・情報の募集は行わずに厚生労働大臣に通知することとしました。


当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。
https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20240130fsc