■第925回食品安全委員会

日付:令和6年1月16日(火)
 

議題

 

(1)  農薬第三専門調査会における審議結果について

・「フェンプロピジン」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

(2)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・農薬「イミシアホス」に係る食品健康影響評価について

・農薬「カルタップ、チオシクラム及びベンスルタップ」に係る食品健康影響評価について

・動物用医薬品「フェノキシエタノールを有効成分とするすずき目魚類の薬浴剤(バイオネンネ)」に係る食品健康影響評価について

・遺伝子組換え食品等「Raα3114株を利用して生産されたプロテアーゼ」に係る食品健康影響評価について

(3)  「食品安全委員会における調査審議方法等について」の一部改正について

(4)  その他

 

審議の内容

 

(1)  農薬第三専門調査会における審議結果

 

フェンプロピジンについては、我が国で登録されていませんが、企業からこの農薬を使用したバナナを輸入する計画があることから、2023年8月30日付けで厚生労働大臣より残留基準の設定に向けた食品健康影響評価の要請がありました。これを受けて、農薬第三専門調査会で審議を行ったものです。

各種試験の結果から、農産物中のばく露評価対象物質をフェンプロピジン(親化合物のみ)とした上で、許容一日摂取量(ADI)を0.016 mg/kg 体重/日、急性参照用量(ARfD)については、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対して0.1 mg/kg 体重、一般集団に対して3.5 mg/kg 体重とそれぞれ設定しました。

 

この審議結果(案)については、1月17日(水)から2月15日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

 

(2)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

 

〇農薬「イミシアホス」

 

イミシアホスについては、過去に評価しています(2015年12月22日に第3版を答申)。企業からだいこん類の根、にんじん等にも使用したいとの申請があったことから、2022年8月24日付けで厚生労働省大臣から食品健康影響評価の要請があり、その後、厚生労働大臣から眼・皮膚に対する刺激性試験が追加提出されたことなどから、農薬第二専門調査会において審議を行ったものです。

各種毒性試験の結果から、ADI=0.0005 mg/kg 体重/日、ARfD=0.01 mg/kg 体重と設定しました。

 

この審議結果については、これまでの評価結果を変更するものではないことから、意見・情報の募集は行わずに厚生労働大臣に通知することとしました。

 

なお、委員から、今回フェンプロピジンの評価依頼に際し発生毒性試験結果の提出が遅れたことについて、遺憾の意が示されるともに、改めてリスク管理機関に対し、評価に必要な試験報告書が提出されるように期待するとの発言がありました。

 

〇農薬「カルタップ、チオシクラム及びベンスルタップ」

 

カルタップ、チオクラシム及びベンスルタップについては、過去に評価しています(2019年6月4日に第1版を答申)。企業から、カルタップをみかん、かぶ等にも使用したいとの申請があったことから、農薬第五専門調査会における審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

またこれらの化学物質(カルタップ塩酸塩、チオシクラムシュウ酸水素塩、ベンスルタップ)については、それぞれ独立した毒性試験等が行われていることから、個別に評価を行った上で、グループADI及びARfDを検討しました。

その結果、農産物及び畜産物中のばく露対象物質をカルタップ塩酸塩、チオシクラムシュウ酸水素塩、チオシクラム、ベンスルタップ及び代謝物(ネライストキシン、アルカリ条件下で加水分解、酸化することによりネライストキシンに変換される代謝物を含む)とした上で、グループADI=0.016 mg/kg 体重/日(カルタップ塩酸塩換算)、グループARfD=0.1 mg/kg 体重(カルタップ塩酸塩換算)をそれぞれ設定しました。

 

この審議結果については、これまでの評価結果を変更するものではないことから、意見・情報の募集は行わずに厚生労働大臣に通知することとしました。

 

〇動物用医薬品「フェノキシエタノールを有効成分とするすずき目魚類の薬浴剤(バイオネンネ)」

 

バイオネンネについては、フェノキシエタノールを有効成分とするすずき目魚類に使用する薬浴剤として、2023年3月8日付けで農林水産大臣より、動物用医薬品の製造販売の承認に向けた食品健康影響評価の要請があったことから、動物用医薬品専門調査会における審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

期間中意見の提出はなく、専門調査会の結論と同様に、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できる程度と判断し、農林水産大臣に通知することとしました。

 

〇遺伝子組換え食品等「Raα3114株を利用して生産されたプロテアーゼ」に係る食品健康影響評価について

 

本添加物は、Bacillus subtilis Marburg 168株を宿主として、Thermus aquaticus YT1株由来のプロテアーゼ遺伝子を導入して作製した組換え体を用いて生産されたプロテアーゼです。2020年9月28日付けで厚生労働大臣から、食品健康影響評価の要請があったことから、遺伝子組換え食品等専門調査会における審議を経てパブリックコメントの手続きを行いました。

期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会における結論と同様に、本添加物は「人の健康を損なうおそれはない」と判断し、厚生労働大臣に通知することとしました。

 

(3)  「食品安全委員会における調査審議方法等について」の一部改正について

 

食品安全委員会における調査審議等の方法について、より一層の中立性・公正性を確保する観点から、他の審議会等の例も参考に表記委員会決定の見直しを行うことにについて事務局から説明があり、案の通り決定しました。

 

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20240116fsc