■第918回 食品安全委員会

日付:令和5年10月31日(火)
 

議題

 

(1)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について

・農薬3品目(農林水産省からの説明)

フェリムゾン

プロスルホカルブ

ペントキサゾン

(2)  農薬第五専門調査会における審議結果について

・農薬「キノフメリン」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

(3)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・農薬「イソチアニル」に係る食品健康影響評価について

・農薬「チオベンカルブ」に係る食品健康影響評価について

・農薬「チフルザミド」に係る食品健康影響評価について

・農薬「ブタクロール」に係る食品健康影響評価について

・動物用医薬品「ケトプロフェン」に係る食品健康影響評価について

・動物用医薬品「ツラスロマイシン及びケトプロフェンを有効成分とする牛の注射剤(ドラクシンKP)」に係る食品健康影響評価について

(4)  その他

 

審議の内容

 

(1)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明

 

フェリムゾン、プロスルホカルブ、ペントキサゾンの農薬3品目については、農薬取締法第8条第4項に基づき行われる農薬の再評価に関して、本年10月25日付けで農林水産大臣から食品健康影響評価の要請があり、今回説明を受けました。

 

なお、農林水産省から、再評価に際し、「公表文献の収集・選択等のガイドライン」に基づき文献の収集を行うこととしている中、さらに広範に文献を募る観点から、収集された文献をリスク評価機関に送付する前に公表する仕組みを検討していることについて紹介がありました。

 

また、本年3月28日の食品安全委員会第894回会合にて農林水産省から再評価にかかる評価要請があった「エスプロカルブ」、「フェンメディファム」及び「フサライド」について、今後、農薬第五専門調査会、農薬第三専門調査会及び農薬第四専門調査会において、それぞれ審議するよう指定した旨、委員長から報告がありました。

 

(2)  農薬第五専門調査会における審議結果

 

キノフメリンについては、企業からの、稲、トマト等に使用する新たな農薬としての登録申請を受けて、本年7月12日付けで厚生労働大臣から残留農薬基準の設定に向けた食品健康影響評価の要請があったことから、農薬第五専門調査会において審議を行いました。

 

専門調査会は、各種毒性試験の結果から、許容一日摂取量(ADI)を0.03 mg/kg 体重/日、急性参照用量(ARfD)を0.3 mg/kg 体重と設定しました。

 

この審議結果(案)は、11月1日(水)から11月30日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行うこととします。

 

(3)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見

 

イソチアニル、チオベンカルブ、チフルザミド及びブタクロールの農薬4品目については、農薬取締法第8条第4項に基づき行われる農薬の再評価に向けて、イソチアニルについては2022年12月14日付けで、その他3品目については2022年9月28日付けで、それぞれ農林水産大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、農薬第一専門調査会における審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

イソチアニルについては、期間中意見の提出はなく、専門調査会の結論と同じ、ばく露評価対象物質をイソチアニル(親化合物)とした上で、ADI = 0.028 mg/kg 体重/日と設定し、ARfDについては設定する必要がないと判断しました。

 

チオベンカルブについては、期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会の結論と同じ、ばく露評価対象物質をチオベンカルブ(親化合物)とした上で、ADI=0.009 mg/kg 体重/日、ARfD=1 mg/kg 体重と設定しました。

 

チフルザミドについては、期間中2件の意見が提出されましたが、専門調査会の結論と同じ、ばく露評価対象物質をチフルザミド及びその代謝物とした上で、ADI = 0.014 mg/kg 体重/日、ARfD=0.25 mg/kg 体重と設定しました。

 

ブタクロールについては、期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会の結論と同じ、ばく露評価対象物質をブタクロール(親化合物)とした上で、ADI=0.01 mg/kg 体重/日、ARfD=0.49 mg/kg 体重と設定しました。

 

以上の結果について、農林水産大臣に通知することとしました。

 

〇 ケトプロフェン

 

ケトプロフェンについては、過去に評価したことがあります(2014年12月16日に第2版を答申)。ツラスロマイシン及びケトプロフェンを有効成分とする牛の注射剤(ドラクシンKP)について、2022年12月7日付けで農林水産大臣から、動物用医薬品の製造販売承認に係る食品健康影響評価の要請があったことから、動物用医薬品専門調査会での審議を経てパブリックコメントの手続きを行いました。

 

期間中意見の提出はなく、専門調査会の結論と同様に、ケトプロフェンのADIを0.00065 mg/kg 体重/日と設定し、農林水産大臣に通知することとしました。

 

(ツラスロマイシンの評価結果については、本年9月20日付けで農林水産大臣に通知済みです。)

 

○ ドラクシンKP

 

ケトプロフェン、ツラスロマイシンと合わせて、肥料・飼料等専門調査会及び動物用医薬品専門調査会の審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

期間中意見の提出はなく、専門調査会の結論と同様に、

・本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できる程度と判断するとともに、

・本製剤の使用に当たっては、ツラスロマイシンがマクロライド系抗菌性物質であることから、薬剤耐性菌に関する食品健康影響評価においてリスクの程度は低度であるとされていることに留意する必要があることについて付記した上で、農林水産大臣に通知することとしました。

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20231031fsc