■第905回 食品安全委員会

日付:令和5年7月11日(火)
 

議題

 

(1)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について

・遺伝子組換え食品等1品目(厚生労働省からの説明)

チョウ目害虫抵抗性及び除草剤グリホサート耐性トウモロコシ(DAS1131)

・遺伝子組換え食品等2品目(農林水産省からの説明)

チョウ目害虫抵抗性及び除草剤グリホサート耐性トウモロコシ(DAS1131)

JPBL011株を利用して生産されたα-アミラーゼ

・動物用医薬品1品目(農林水産省からの説明)

マルボフロキサシンを有効成分とする豚の注射剤(フォーシルS)

(2)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・農薬「プロチオホス」に係る食品健康影響評価について

・動物用医薬品「ヒドロコルチゾン」に係る食品健康影響評価について

(3)  その他

 

審議の内容

 

(1)  リスク管理機関からの説明

 

厚生労働大臣から7月3日付けで遺伝子組換え食品等1品目について、農林水産大臣から7月4日付けで遺伝子組換え食品等2品目及び7月5日付けで動物用医薬品1品目について、それぞれ食品健康影響評価の要請があり、今回説明を受けました。

 

チョウ目害虫抵抗性及び除草剤グリホサート耐性トウモロコシ(DAS1131)は、イネ科トウモロコシ属のトウモロコシ(Zea mays subsp. mays (L.) Iltis)のデント種B104系統を宿主とし、チョウ目害虫抵抗性の付与を目的として、Bacillus thuringiensis由来の改変遺伝子を導入するとともに、除草剤グリホサート耐性を付与するため、Streptomyces sviceus由来の遺伝子を導入して作出したものです。遺伝子組換え食品及び飼料の安全性について問われています。

 

JPBL011株を利用して生産されたα-アミラーゼは、Bacillus licheniformis Ca63株を宿主として、α-アミラーゼの生産効率を高めるため、Geobacillus stearothermophilus ATCC7953株由来のα-アミラーゼ遺伝子に改変を加えた遺伝子が導入された生産菌JPBL011株を利用して生産されるものであり、飼料添加物としての安全性について問われています。

 

以上三品目については、今後遺伝子組換え食品等専門調査会において、それぞれ審議することとしました。

 

マルボフロキサシンを有効成分とする豚の注射剤(フォーシルS)について、第一次選択薬が無効の場合の豚の大腸菌性下痢症に適応する動物用医薬品としての販売承認に向けて、食品健康影響評価の要請がありました。

本製剤の安全性評価については、今後肥料・飼料等専門調査会において審議することとしました。

 

なお、マルボフロキサシンについては、薬剤耐性菌に係る評価は既に実施済みです。今回新たに薬物動態試験、残留試験及び薬剤感受性試験が提出されましたが、既存の評価結果に影響を及ぼす可能性があるとは認められないと考えられたことから、薬剤耐性菌に関するワーキンググループによる調査審議を経ることなく、今後委員会において審議することとしました。

 

(2)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見

 

○プロチオホス

 

農薬「プロチオホス」は、過去に評価を実施したことがあります(2018年10月23日に第1版を答申)。企業からにんじん及びにら等にも使用したいとの申請があり、2022年7月13日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請がありました。

今回作物残留試験(にんじん、にら等)、家畜代謝試験(ヤギ及びニワトリ)、畜産物残留試験(ウシ)の成績等が新たに提出されましたが、毒性に関する試験成績の追加提出はなく、許容一日摂取量(ADI)=0.0027 mg/kg 体重/日、急性参照用量(ARfD)=0.05 mg/kg 体重/日は、第1版から変更していません。

 

この審議結果について指標に変更がなかったことから、意見・情報の募集は行わずに厚生労働大臣に通知することとしました。

 

○ヒドロコルチゾン

 

動物医薬品「ヒドロコルチゾン」については我が国で承認されていませんが、ポジティブリスト制度導入時に暫定基準が設定された動物用医薬品です。2020年3月17日付けで、厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、動物用医薬品専門調査会での審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

期間中「畜産食品に天然に含まれる量も考慮する必要があるのではないか」との意見が提出されたことから、厚生労働省から提出された関係データに基づき、改めて審議を行いました。その結果、専門調査会の結論と同じ、現行のリスク管理措置の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響は無視できる程度と判断し、厚生労働大臣に通知することとしました。

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20230711fsc