もうすぐ夏がやってきます。飲食店で外食される方や、家族や友人とバーベキューなどを予定している方も多いのではないでしょうか。しかし、梅雨から夏にかけては、細菌による食中毒が発生しやすい時期であることをお忘れなく。今の時期をはじめ、1年を通じて特に気をつけたい食中毒菌の一つがカンピロバクターです。鶏刺しや鶏タタキ、鶏レバーなどの生肉や、加熱が不十分な肉料理を食べたことによる食中毒の事例が毎年数多く報告されています。令和4年の厚生労働省の食中毒統計では、事件数でアニサキスに続く第2位の185件が報告されていいます。

 

カンピロバクターがついた食品を食べると2~7日くらいで、下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐き気、おう吐などの症状が現れます。死亡例は少ないものの、まれに筋力低下や運動麻痺の後遺症が残ることもあります。

 

カンピロバクターは、鶏や牛などの家畜の腸内におり、生の鶏や牛の肉や肝臓についていることがあります。この菌は、冷蔵又は冷凍温度でも長期間生存します。

 

特に、飲食店での鶏肉などの食肉の加熱不十分であることが原因とみられる食中毒事例も毎年報告されております。鶏肉など生肉は中心部を十分に(75℃以上1分以上またはこれに相当する条件で)加熱しましょう。また他の食材との交差汚染に注意するともに、調理器具を清潔に保つようにしましょう。

 

ご家庭でも、カンピロバクターによる食中毒を防ぐため、次のことに注意をしましょう。

・生又は加熱不十分な鶏肉や鶏レバー、牛レバーなどの肉を食べない。

・特に鶏肉などのお肉は、十分に(中心部を 75℃以上で 1 分間以上またはこれと同等の条件で)※加熱してから食べる。

※ 肉の色が変わっただけでは判断できません。詳細は以下の(参考)をご覧ください。

・保存時や調理時に、肉や肉に含まれる細菌と、他の食材(野菜、果物等)との接触を防ぐ

― 生の肉は洗わない

― 生の肉に触れた手はしっかり洗ってから他の食材を取り扱う

― 生の肉に触れた調理器具、食器は十分に洗う。調理器具や食器は、熱湯で消毒し、よく乾燥させる。

 

 

(参考1:鶏肉等を安全に食べるための調理条件を知りたい方へ)
・食品安全委員会 肉を低温で安全においしく調理するコツをお教えします!
https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/shokuhniku_teionchouri.html

・食品安全委員会 食品安全関係素材集
(鶏肉の加熱時間による断面画像などを掲載しています)
http://www.fsc.go.jp/sozaishyuu/

・食品安全委員会 公式YouTubeチャンネル
(鶏肉の安全な調理のための動画を掲載しています)
http://www.fsc.go.jp/visual/youtube.html

 

(参考2:さらに詳しく知りたい方向け)
・食品安全委員会 食品健康影響評価のためのリスクプロファイル
鶏肉等におけるCampylobacter jejuni/coli(改訂版)(令和3年6月改訂)
http://www.fsc.go.jp/risk_profile/index.data/210622CampylobacterRiskprofile.pdf

・厚生労働省 「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html

・農林水産省 カンピロバクター(細菌) [Campylobacter jejuni, C. coli]
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/campylobacter.html