最近、サバの塩焼き食べた園児が口のまわりなどに発疹が生じる集団食中毒の事案がありました。この食中毒の原因となった化学物質はヒスタミンと言われ、サバ、マグロ、イワシなどの魚が、常温に放置される等の不適切な管理が行われた際に、ヒスタミン生成菌が増殖することによって作られます。ヒスタミンは熱に強く一度できてしまうと加熱調理によっても分解しません。過去の事例では、保育園や学校が関係する大規模な食中毒が報告されています。

 

 ヒスタミンは、魚やその加工品のほか、醤油、味噌、ワインやチーズ等の発酵食品にも含まれていることがあります。ヒスタミンを多く含む食品を食べることで、アレルギーに似た症状を発症します。通常、食後数分~30分位で顔面(特に口の周りや耳ぶた)が紅潮し、頭痛、じんま疹、発熱等の症状がでますが、たいてい6~10時間で回復します。重症になることは少なく、抗ヒスタミン剤の投与により速やかに治ります。

 

ヒスタミンが含まれているかどうかは、見た目や臭いで判断することは難しいので、ヒスタミンによる食中毒の予防のためには、次のことを徹底することが大切です。

・魚を保存する場合は、速やかに冷蔵・冷凍し、常温での放置時間を最小限とすること。

・ひとたび蓄積されたヒスタミンは加熱しても分解しないため、鮮度が低下したおそれのある魚は食べないこと。

・自分で釣った魚でも、速やかにクーラーボックスに入れる等、常温に放置しないようにすること。また内臓はできるだけ早く取り出し、腸管内容物で魚肉を汚染させないように注意すること。

・ヒスタミンが高濃度に蓄積されている食品を口に入れたときに唇や舌先に通常と異なる刺激を感じる場合があるので、そのような場合は食べずに捨てること。

 

(参考)
・食品安全委員会 ファクトシート「ヒスタミン」

https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/210330histamine.pdf

 

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