■第901回 食品安全委員会

日付:令和5年6月6日(火)
 

議題

 

(1)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に係るリスク管理機関からの説明について

・添加物4品目(厚生労働省からの説明)

メチルセルロース並びにカルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びデンプングリコール酸ナトリウム

(2)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・添加物「ポリビニルアルコール」に係る食品健康影響評価について

・飼料添加物「Komagataella phaffii BSY-0007株を利用して生産されたフィターゼを原体とする飼料添加物」に係る食品健康影響評価について

・「食品衛生法第18条第1項の規定に基づき、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に定める器具及び容器包装の規格を改正することについて」に係る委員会の意見について

・「食品衛生法第52条第1項の規定に基づき、器具又は容器包装を製造する営業の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置に関する基準を改正することについて」に係る委員会の意見について

(3)その他

 

審議の内容

 

(1)リスク管理機関からの説明

 

メチルセルロースは、加熱するとゲル化する、界面活性に優れる等の性質を持つことから、食品の結合材等に使用されます。

この規格基準改正の検討に際し、本年5月30日付けで厚生労働大臣より食品健康影響評価の要請があり、今回説明を受けました。今後添加物専門調査会で審議することとしました。

 

また、これに伴って、同品目の使用基準において併用の記載がある、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びデンプングリコール酸ナトリウムについても、使用基準の改正が必要となることから、合わせて評価要請がありました。

 

これらについては、メチルセルロースの使用基準を変更しても、使用の実態に変更が生じるとは考えられないので、添加物専門調査会での調査審議は必要ないと考えられましたが、当該使用基準の改正と関連するものなので、メチルセルロースの同専門調査会における検討結果を踏まえた上で、4品目合わせて委員会において審議することとしました。

 

(2)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見

 

○ポリビニルアルコール

 

ポリビニルアルコールについては、2022年6月22日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、添加物専門調査会において、ポリビニルアルコールに加え、不純物及びその分解物である、メタノール及び酢酸に係る知見を踏まえ、総合的に評価を行った後、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会の結論と同じ、ポリビニルアルコールが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念はないと考えられ、ADIを特定する必要はないと判断しました。なお、評価書について、提出された意見を受けた修正のほか、一部文言の適正化を行った上で厚生労働大臣に通知することとしています。

 

Komagataella phaffii BSY-0007株を利用して生産されたフィターゼを原体とする飼料添加物

 

本品目は、Komagataella phaffii BG10株を宿主とし、Echerichia coli B株のフィターゼを産生する遺伝子に変異を加えた遺伝子が導入された生産菌Komagataella phaffii BSY-0007株によって産生されます。

本年1月18日付けで農林水産大臣から、飼料添加物の製造の方法等の基準及び規格並びに製造方法の規格の設定に向けて食品健康影響評価の要請があったことから、肥料・飼料等専門調査会での審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会の結論と同じ、飼料添加物として適切に使用される限りにおいては、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できる程度と判断し、農林水産大臣に通知することとしました。

 

○食品衛生法第18条第1項の規定に基づき、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に定める器具及び容器包装の規格を改正することについて

 

食品衛生法第18条第1項の規定に基づく器具及び容器包装の規格を改正することについて、本年4月13日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、委員会において審議を行いました。

食品衛生法第18条第3項の政令で定める材質の原材料であって、これに含まれる物質についての規格を定めた規格基準告示を改正し、合成樹脂の基材として用いられる物質収載名称の変更や材質区分の統合等、記載内容の見直しの妥当性について問われています。

 

この結果、本件については、人の健康に及ぼす影響が変わるものではないと考えられることから、食品安全基本法第11条第1項第2号の「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるとき」に該当すると判断し、厚生労働大臣に通知することとしました。

なお、この際、個別物質のリスク評価に資する情報の収集を速やかに実施し、個別の食品健康影響評価の依頼を計画的に実施すること等の措置を求める旨付言することとしました。

 

○食品衛生法第52条第1項の規定に基づき、器具又は容器包装を製造する営業の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置に関する基準を改正することについて

 

食品衛生法第52条第1項の規定に基づく、器具又は容器包装を製造する営業の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置に関する基準を改正することについても、同日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、委員会において審議を行いました。

 

その結果、本件についてはリスク管理の実行性等の観点から見直しが行われるものであり、人の健康に及ぼす影響が変わるものではないと考えられることから、食品安全基本法第11条第1項第2号の「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるとき」に該当すると判断し、厚生労働大臣に通知することとしました。

なお、この際、この基準に沿った適切な運用を通じて、より適切な公衆衛生上必要な措置が行われるよう、事業者を指導・監督すべきである旨付言することとしました。

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20230606fsc