■第896回 食品安全委員会

日付:令和5年4月18日(火)
 

議題

 

(1)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について

・特定保健用食品1品目(消費者庁からの説明)

健康茶血糖値対策500

・器具・容器包装2案件(厚生労働省からの説明)

食品衛生法第18条第1項の規定に基づき、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に定める器具及び容器包装の規格を改正することについて

食品衛生法第52条第1項の規定に基づき、器具又は容器包装を製造する営業の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置に関する基準を改正することについて

(2)肥料・飼料等専門調査会における審議結果について

・「Komagataella phaffii BSY-0007株を利用して生産されたフィターゼを原体とする飼料添加物」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

(3)遺伝子組換え食品等専門調査会における審議結果について

・「Geobacillus stearothermophilus TP7株を利用して生産されたプロテアーゼ」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

(4)その他

 

審議の内容

 

(1)リスク管理機関からの説明

 

「健康茶 血糖値対策500」については、企業から、桑の葉由来イミノシュガーを関与成分とする特定保健用食品として表示許可の申請があったことから、本年3月29日付けで消費者庁から食品健康影響評価の要請があり、今回説明を受けました。桑の葉由来イミノシュガーがα-グルコシダーゼ活性を阻害することにより、食後の血糖値の上昇を抑制する効果があるとされています。

消費者庁から、食品安全委員会による食品健康影響評価の答申を受けて、本製品がこれまでの疾病リスク低減表示とは異なるタイプの品目であることを踏まえつつ、慎重に審議を進めていく方針である旨、補足説明がありました。

今後、新開発食品専門調査会で審議することとしました。

 

食品衛生法第18条第1項の規定に基づく器具及び容器包装の規格を改正することについて、本年4月13日付けで、厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請がありました。

食品衛生法第18条第3項の政令で定める材質の原材料であって、これに含まれる物質についての規格を定めた規格基準告示を改正し、合成樹脂の基材として用いられる物質収載名称の変更や材質区分の統合等、記載内容の見直しの妥当性について問われています。

 

また、食品衛生法第52条第1項の規定に基づく、器具又は容器包装を製造する営業の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置に関する基準を改正することについても、同日付けで厚生労働大臣から、食品健康影響評価の要請がありました。

 

今後、前者について器具・容器包装専門調査会で審議するとともに、この検討結果を踏まえた上で、後者も含め二件合わせて本委員会で審議することとしました。

 

(2)肥料・飼料等専門調査会における審議結果について

 

Komagataella phaffii BSY-0007株を利用して生産されたフィターゼを原体とする飼料添加物

 

本品目は、Komagataella phaffii BG10株を宿主とし、Echerichia coli B株のフィターゼを産生する遺伝子に変異を加えた遺伝子が導入された生産菌Komagataella phaffii BSY-0007株によって産生されます。

本年1月18日付けで農林水産大臣から、飼料添加物の製造の方法等の基準及び規格並びに製造方法の規格の設定に向けて食品健康影響評価の要請がありました。

 

飼料添加物指定審査用資料等を用いて評価した結果、

Komagataella phaffii BSY-0007株を利用して生産されたフィターゼについて、昨年遺伝子組換え飼料添加物の安全性に関する評価を実施し、当該飼料添加物を摂取した家畜に由来する畜産物については、人の健康を損なうおそれはないと評価していること、

・各種毒性試験結果から、遺伝毒性はなく、また、投与に起因した毒性所見はみられず、NOAELは、ラットの90日間亜急性毒性試験の最高用量である1,000 mg/kg 体重/日であると判断されたこと、

・本飼料添加物に含まれている賦形物質等は、その使用状況及び既存の評価並びに本飼料添加物の用法・用量を考慮すると、本飼料添加物の含有成分として摂取した場合の人への健康影響は無視できる程度と考えられたこと、

・本飼料添加物を用いた対象動物の安全性及び飼養試験の結果から、推奨添加物量の200倍量を混餌投与しても耐容し、推奨添加量で使用した場合において、投与による異常はみられなかったこと

から、飼料添加物として適切に使用される限りにおいては、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できる程度と判断しました。

 

これらの審議結果(案)については、4月19日(水)から5月18日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

 

(3)遺伝子組換え食品等専門調査会における審議結果

 

Geobacillus stearothermophilus TP7株を利用して生産されたプロテアーゼ

 

本添加物は、Geobacillus stearothermophilus TP1株由来の変異育種株を宿主として、G.  stearothermophilus TP1株由来の別の変異育種株由来のプロテアーゼ遺伝子を導入して作製した組換え体を用いて生産されたものです。本添加物は、タンパク質のペプチド結合をエンド型で加水分解し、ペプチドやアミノ酸液を生成する酵素であり、食品加工に使用されます。本年1月10日付けで厚生労働大臣から、食品健康影響評価の要請がありました。

今回挿入遺伝子の安全性、挿入遺伝子から産生されるタンパク質の毒性、アレルギー誘発性等について確認した結果、従来の添加物と比較して新たに安全性を損なうおそれのある要因は認められなかったことから、「人の健康を損なうおそれはない」と判断しました。

 

これらの審議結果(案)については、4月19日(水)から5月18日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20230418fsc