■第895回 食品安全委員会

日付:令和5年4月11日(火)
 

議題

 

(1)農薬第四専門調査会及び肥料・飼料等専門調査会における審議結果について

・「シンナムアルデヒド」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

(2)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・農薬「ジクロロメゾチアズ」に係る食品健康影響評価について

・動物用医薬品・飼料添加物「エトパベート」に係る食品健康影響評価について

・遺伝子組換え食品等「DIDK-0176株を利用して生産されたホスホリパーゼ」に係る食品健康影響評価について

・遺伝子組換え食品等「ROM株を利用して生産されたα-アミラーゼ」に係る食品健康影響評価について

(3)その他

 

審議の内容

 

(1)農薬第四専門調査会及び肥料・飼料等専門調査会における審議結果

 

○シンナムアルデヒド

 

シンナムアルデヒドは、ポジティブリスト制度導入時に食品衛生法第13条第3項に基づく「人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定めるもの」として規定されています。

企業から、トマト、なす等に使用する新たな農薬(製剤)としての登録申請があり、2022年8月24日付けで、改めて厚生労働大臣から同規定に基づく人の健康を損なうおそれのないことが明らかである物質として定めることに関して、食品健康影響評価の要請がありました。

 

海外の評価機関(JECFA、EFSA及びEPA)の評価書等を参照して評価を行った結果、いずれの評価機関においても、ADI及びARfDは設定されていませんでした。

また我が国でも、

・食品添加物(香料)として長年使用されてきた実績があり、十分な食経験があること、

・飼料添加物として使用実績もあり、これまでに家畜及び畜産物の安全性に関する特段の問題は認められていないこと、

・農薬及び飼料添加物として使用された場合、その使用により生ずる作物及び畜産物への残留によって、通常の食生活において食品から摂取しているシンナムアルデヒドの量を増加させる可能性は低いと考えられること

から、農薬及び飼料添加物として想定しうる使用方法に基づき通常使用される限りにおいて、食品に残留することにより人の健康を損なうおそれのないことが明らかであると判断しました。

 

これらの審議結果(案)については、4月12日(水)から5月11日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

 

(2)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

 

○農薬「ジクロロメゾチアズ」

 

ジクロロメゾチアズについては、企業から、キャベツ、だいこん等に使用する新たな農薬として登録申請があり、2022年11月24日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、農薬第二専門調査会での審議を経て、パブリックコメントの募集を行いました。

 

期間中意見は提出されず、専門調査会における結論と同じ、ADI=1.2 mg/kg 体重/日と設定、ARfDは設定する必要がないと判断し、厚生労働大臣に通知することとしました。

 

○動物用医薬品・飼料添加物「エトパベート」

 

エトパベートは、ポジティブリスト制度導入時に暫定基準が設定された動物用医薬品で、2020年3月17日付けで厚生労働大臣から、既に設定された暫定基準値がリスク管理措置として妥当かどうかについて、食品健康影響評価の要請があったことから、肥料・飼料等専門調査会における審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会の結論と同じ、「現行のリスク管理措置の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響は無視できる程度」と判断し、農林水産大臣に通知することとしました。

 

○遺伝子組換え食品等「DIDK-0176株を利用して生産されたホスホリパーゼ」

 

本添加物は、Ogataea polymorpha RB11株を宿主として、Fusarium heterosporum株由来のホスホリパーゼ遺伝子を導入して作製されたDIDK-0176株を利用して生産された、ホスホリパーゼA1です。本添加物は、ケーキ製造における品質改善に使用されます。2021年11月8日付けで、厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、遺伝子組換え食品等専門調査会での審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会における結論と同じ、「人の健康を損なうおそれはない」と判断し、厚生労働大臣に通知することとしました。

 

○遺伝子組換え食品等「ROM株を利用して生産されたα-アミラーゼ」

 

本添加物は、Bacillus subtilis DS18174株を宿主として、Geobacillus Stearothermophilus由来の改変α-アミラーゼ遺伝子を導入して作製されたROM株を利用して生産されたα-アミラーゼです。本添加物は、パン製造における品質維持に用いられます。2022年5月20日付けで、厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、遺伝子組換え食品等専門調査会での審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会における結論と同じ、「人の健康を損なうおそれはない」と判断し、厚生労働大臣に通知することとしました。

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20230411fsc