■第889回 食品安全委員会

日付:令和5年2月14日(火)
 

議題

 

(1)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について

・肥料1品目(農林水産省からの説明)

菌体りん酸肥料

(2)遺伝子組換え食品等専門調査会における審議結果について

・「ROM株を利用して生産されたα-アミラーゼ」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

(3)肥料・飼料等専門調査会における審議結果について

・動物用医薬品・飼料添加物「エトパベート」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

(4)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・遺伝子組換え食品等「コウチュウ目害虫抵抗性及び除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ(DP23211)」に係る食品健康影響評価について

(5)令和5年度食品安全モニターの依頼について

(6)その他

 

審議の内容

 

(1)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について

 

肥料の原料について、価格が高騰するなどの状況にある中、安定的に農業生産を続けていくためには、下水汚泥資源など国内資源の利用拡大を図ることが重要です。汚泥肥料を原料として使用する肥料のうち、品質管理が徹底されているものについては、安定した肥料成分が確保できるため、成分保証ができる普通肥料として、さらなる有効利用が期待されます。

このため、今般汚泥資源を原料として使用する肥料のうち、品質管理を徹底し、含有すべき主成分としてりん酸を保証できるものについて、「菌体りん酸肥料」として公定規格を新たに定めるとともに、これに使用可能な原料として、原料規格に「排水処理活性沈殿物」を追加することについて、令和5年2月8日付けで、農林水産大臣から食品健康影響評価の要請がありました。

今後、肥料・飼料等専門調査会で審議することとしました。

 

(2)遺伝子組換え食品等専門調査会における審議結果

 

○ ROM株を利用して生産されたα-アミラーゼ

 

本添加物は、Bacillus subtilis DS18174株を宿主として、Geobacillus Stearothermophilus由来の改変α-アミラーゼ遺伝子を導入して作製されたROM株を利用して生産されたα-アミラーゼです。本添加物は、パン製造における品質維持に用いられます。2022年5月20日付けで、厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請がありました。

今回、挿入遺伝子の安全性、挿入遺伝子から産生されるタンパク質の毒性及びアレルギー誘発性等について確認した結果、従来の添加物と比較して新たに安全性を損なうおそれのある要因は認められなかったことから、「人の健康を損なうおそれはない」と判断しました。

 

この審議結果(案)について、2月15日(水)から3月16日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

 

(3)肥料・飼料等専門調査会における審議結果

 

○ 動物用医薬品・飼料添加物「エトパベート」

 

エトパベートは、ポジティブリスト制度導入時に暫定基準が設定された動物用医薬品で、2020年3月17日付けで、厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請されました。既に設定された暫定基準値が、リスク管理措置として妥当かどうかを問われたものです。

各種毒性試験の結果から、最小無毒性量(NOAEL)はラットを用いた105週間慢性毒性試験でみられた500 mg/kg 体重/日でした。また、現行のリスク管理における体重1 kg当たり及び1日当たりの推定摂取量が、最大と試算された国民平均で0.000052 mg/kg 体重/日と算定されています。

したがって、上記推定摂取量とNOAELの比較によるMOEは9,600,000であり、発がん性試験及び生殖発生毒性試験が不足していることを考慮しても、両者の間には十分な余裕があると判断しました。また、本成分についての微生物学的影響調査結果において抗菌活性が見られないことから、微生物学的ADIの設定は不要と考えました。

これらのことから、「現行のリスク管理措置の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響は無視できる程度」と判断しました。

 

この審議結果(案)について、2月15日(水)から3月16日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

 

(4)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

 

○コウチュウ目害虫抵抗性及び除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ(DP23211)

 

本系統は、トウモロコシ(Zea mays ssp. mays (L.) Iltis)のデント種PHR03系統を宿主とし、Diabrotica virgifera virgifera に由来するDvSSJ1遺伝子断片、Pseudomonas chlororaphis に由来するipd072Aa遺伝子及びStreptomyces viridochromogenes に由来するpat遺伝子を導入して作出されたものです。2021年2月9日付けで、厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請されたことから、遺伝子組換え食品等専門調査会での審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。

期間中1件の意見が提出されましたが、専門調査会における結論と同じ、「人の健康を損なうおそれはない」と判断し、厚生労働大臣に通知することとしました。

 

また、同系統を用いた遺伝子組換え飼料の安全性について、同日付けで農林水産大臣から食品健康影響評価の要請があったことから、同専門調査会での審議を行いました。

 

その結果、

・本系統では、新たな有害物質が生成されることはないため、畜水産物中に新たな有害物質が移行することは考えられないことや、

・遺伝子組換えに起因する成分が畜産物中で有害物質に変換される可能性、人の健康に影響に影響を与えるような、意図した成分以外の成分が蓄積・濃縮される可能性及び家畜の代謝系に作用した新たな有害物質が生成される可能性は考えられないこと

から、「遺伝子組換え飼料及び飼料添加物の安全性評価の考え方」に照らして、改めて安全性評価を行う必要はなく、当該飼料を摂取した家畜等に由来する畜水産物については、人の健康を損なうおそれはないと判断されることから、意見・情報の募集は行わずに農林水産大臣に通知することとしました。

 

(5)令和5年度食品安全モニターの依頼について

 

食品安全委員会では、食品の安全確保に関する施策等についてご意見をいただくため、一般の方から食品安全モニターを募集しました。

令和5年度の食品安全モニターは、新規に依頼する方115名と、令和4年度から継続する意思を表明していただいた355名、合わせて470名の方を対象に4月1日付けで依頼する旨報告がありました。

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20230214fsc