■第868回 食品安全委員会
日付:令和4年7月26日(火)
議題
(1) 動物用医薬品専門調査会における審議結果について
・「クエン酸モサプリドを有効成分とする牛の強制経口投与剤(牛用プロナミド散2%)」に関する審議結果の報告と意見情報の募集について
・「牛ウィルス性下痢ウィルス(Npro及びErns遺伝子欠損1型・2型)生ワクチン(ボベラ)」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(2)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について
・動物用医薬品「モサプリド」に係る食品健康影響評価について
(3)食品安全委員会の運営について(令和4年4月から6月まで)
(4)その他
審議の内容
(1) 動物用医薬品専門調査会における審議結果
○ クエン酸モサプリドを有効成分とする牛の強制経口投与剤(牛用プロナミド散2%)
クエン酸モサプリドを有効成分とする牛の強制経口投与剤(牛用プロナミド散2%)については、本年5月25日に、農林水産大臣から製造販売の承認に係る食品健康影響評価の要請がありました。
本製剤の主剤であるモサプリドクエン酸塩水和物は、食品安全委員会において、モサプリドクエン酸塩としてADIが0.03 mg/kg 体重/日と設定されています。また、クエン酸に対しては、食品安全委員会としてADIを設定する必要はなく、通常使用される限りにおいて、食品に残留しその食品を摂取することにより人の健康を損なうおそれのないことは明らかであると評価しています。
添加剤についても、その使用状況、既存の毒性評価及び本製剤の用法・用量を考慮すると、本製剤の含有成分として摂取した場合の人への健康影響は無視できる程度と考えました。
本製剤の安全性試験及び臨床試験の結果、常用量で適切に使用する場合には、本製剤の投与による牛に対する安全性に問題はないと考えました。
以上のことから、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できる程度と評価しました。
○ 牛ウィルス性下痢ウィルス(Npro及びErns遺伝子欠損1型・2型)生ワクチン(ボベラ)
牛ウィルス性下痢ウィルス(Npro及びErns遺伝子欠損1型・2型)生ワクチン(ボベラ)については、本年年5月25日に、農林水産大臣から製造販売の承認に係る食品健康影響評価の要請がありました。
この生ワクチンについては、牛ウィルス性下痢ウィルス(BVDV)の一部の遺伝子を欠損させたものを主剤としています。目的の遺伝子領域の欠損により弱毒化して病原性を示さなくなった影響以外は、BVDVの特性を受け継いでいると考えられます。牛ウィルス性下痢は人獣共通感染症とは見なされていませんし、BVDVには有害な生理活性物質の生産性についても報告はありません。さらに遺伝子配列のデータベース検索でもアレルギー物質に相同性の高い配列は認められません。
以上のことから、本製剤の主剤の製造用株は、人に対する病原性はないと考えました。
添加剤等についても、その使用状況、既存の毒性評価及び本製剤の用法・用量を考慮すると、本製剤の含有成分として摂取した場合の人への健康影響は無視できる程度と考えました。
さらに、牛を対象とした安全性試験等において、本製剤の接種に起因する牛への影響として、問題となる所見は認められませんでした。
以上のことから、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できる程度と評価しました。
これらの審議結果(案)について、7月27日(水)から8月25日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。
(2)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について
○ モサプリド
動物用医薬品「モサプリド」は、本年5月25日付けで、厚生労働大臣から残留基準設定に係る食品健康影響評価を要請されました。この動物医薬品は過去に評価を実施したことがあります(2014年10月14日に第1版を答申)。
専門調査会で審議が行った結果、ADIは、モサプリドクエン酸塩として0.03 mg/kg 体重/日となり、第1版と同じ結論となりました。
指標に変更がなかったことから、パブリックコメントは実施せずに結果を厚生労働大臣に通知することとしました。
(3)食品安全委員会の運営について(令和4年4月から6月まで)
令和4年度4~6月期の食品安全委員会の運営状況について、食品健康影響評価やリスクコミュニケーション、調査・研究事業、食品安全情報の収集等の項目ごとに実績をとりまとめ、委員会に報告しました。
当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20220726fsc