■第867回 食品安全委員会
日付:令和4年7月19日(火)
議題
(1)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について
・農薬6品目(アミスルブロム、ジエトフェンカルブ、シメコナゾール、バリダマイシン、プロチオホス、メタアルデヒド)
・動物医薬品2品目
シフェノトリン(厚生労働省から説明)
d・d-T-シフェノトリンを有効成分とする豚舎噴霧剤(カーボジェット、ファームクリン))(農林水産省から説明)
(2) 動物用医薬品専門調査会における審議結果について
・「イソシンコメロン酸二プロピル」に関する審議結果の報告と意見情報の募集について
・「マホプラジン」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(3)肥料・飼料等専門調査会における審議結果について
・「ピリメタミン」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(4)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について
・農薬「フルトラニル」に係る食品健康影響評価について
・動物用医薬品「ジクロキサシリン」に係る食品健康影響評価について
(5)令和4年度食品健康影響評価技術研究二次公募課題(案)及び令和4年度食品安全確保総合調査課題(案)について
(6)その他
審議の内容
(1) 食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について
2022年7月13日付けで、農薬6品目及び動物医薬品1品目について厚生労働大臣から、動物医薬品1品目について農林水産大臣から、それぞれ食品健康影響評価の要請があり、今回説明を受けました。
アミスルブロム(農薬)は過去に評価を実施したことがあります(平成31年2月5日に第6版を答申)。今回、畜産物の残留基準設定の申請がありました。
ジエトフェンカルブ(農薬)は過去に評価を実施したことがあります(令和元年7月30日に第2版を答申)。今回、企業から豆類及びの非結球レタスにも使用したいとの申請がありました。
シメコナゾール(農薬)は過去に評価を実施したことがあります(平成30年5月22日に第6版を答申)。今回、企業から稲にも使用したいとの申請がありました。
バリダマイシン(農薬)は過去に評価を実施したことがあります(令和2年9月29日に第1版を答申)。今回、企業からこんにゃく及びチンゲンサイ等にも使用したいとの申請がありました。
プロチオホス(農薬)は過去に評価を実施したことがあります(平成30年10月23日に第1版を答申)。今回、企業からにんじん及びにら等にも使用したいとの申請がありました。
メタルデヒド(農薬)は過去に評価を実施したことがあります(平成29年2月14日に第5版を答申)。今回、企業からセルリー及びアスパラガス等にも使用したいとの申請がありました。
これらのうち、ジエトフェンカルブ及びバリダマイシンについては、作物残留試験の結果のみが追加されているため、既存の評価結果に影響を及ぼすとは認められないと考えられたことから、専門調査会による調査審議を経ることなく、今後委員会において審議することとしました。
また、アミスルブロム、シメコナゾール、プロチオホス及びメタアルデヒドについては、農薬に関する専門調査会において審議することとしました。
シフェノトリン(動物医薬品)は、昆虫の神経細胞膜のナトリウムチャネルに作用して持続的に脱分極を生じさせ、神経機能を撹乱する殺虫剤です。今回、豚舎で使用したいとして、残留基準値設定に向けた評価の要請がありました。
また、d-d-T-シフェノトリンを有効成分とする豚舎噴霧剤(カーボジェット、ファームクリン)についても、動物用医薬品としての製造販売についての承認に向けた評価の要請がありました。
これらについては、動物用医薬品専門調査会において審議することとしました。
(2) 動物用医薬品専門調査会における審議結果
○ 動物医薬品 イソシンコメロン酸二プロピル
イソシンコメロン酸二プロピルについては、2007年3月5日付けで厚生労働省から食品健康影響評価を要請されました。
既に残留基準が設定され、リスク管理が行われており、厚生労働省からは現在行っているリスク管理が妥当かどうかを問われています。
各種遺伝毒性試験の結果から、イソシンコメロン酸二プロピルには遺伝毒性はないと判断しました。さらに各種毒性試験の結果から求めたNOAELと、現行のリスク管理を基にした推定摂取量には十分な余裕があると判断しました。これらのことから、「現行のリスク管理の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響は無視できる程度と考える」と評価しました。
○ マホプラジン
マホプラジンについては、2020年3月17日付けで厚生労働省から食品健康影響評価を要請されました。
既に残留基準が設定され、リスク管理が行われており、厚生労働省からは現在行っているリスク管理が妥当かどうかを問われています。
各種遺伝毒性試験の結果から、マホプラジンには遺伝毒性はないと判断しました。さらに評価に用いた資料に慢性毒性試験、発がん性試験及び繁殖毒性試験が不足していることを考慮しても、各種毒性試験から求めたNOAELと、現行のリスク管理を基にした推定摂取量には十分な余裕があると判断しました。これらのことから、「現行のリスク管理の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響は無視できる程度と考える」と評価しました。
これらの審議結果(案)について、7月20日(水)から8月18日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。
(3)肥料・飼料等専門調査会における審議結果
○ ピリメタミン
ピリメタミンについては、2010年2月15日付けで厚生労働省から食品健康影響評価を要請されました。
今回、提出された各種遺伝毒性の結果から、ピリメタミンの染色体損傷性には閾値があると考えられ、MOEによる評価が可能と判断しました。
さらに、評価に用いた資料に生殖毒性試験が不足していることを考慮しても、各種毒性試験の結果から求めたNOAELと、現行のリスク管理を基にした推定摂取量には十分な余裕があると判断しました。また、本成分の体重1 kg当たり及び1日当たりの推定摂取量は、算出された微生物学的ADIを超えるものではありませんでした、
これらのことから、本成分は「現行のリスク管理の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響は無視できる程度と考えられる」と評価しました。
この審議結果(案)について、7月20日(水)から8月18日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。
(4)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について
○フルトラニル(農薬)に係る食品健康影響評価について
農薬(殺菌剤)フルトラニルは、2022年4月21日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請されました。この農薬は過去に評価を実施したことがあります(2016年10月25日に第2版を答申)。今回企業から、この農薬をとうもろこし、非結球レタス及び畜産物等にも使用したいと申請があり、食品安全委員会に対して評価が要請されました。
作物残留試験、家畜代謝試験(ヤギ及びニワトリ)、亜急性毒性試験(ラット、代謝物J)、遺伝毒性試験(代謝物J及び代謝物K)の試験等が新たに提出されましたが、ADIは0.087 mg/kg 体重/日、ARfDは設定する必要がない、という第2版と同じ結論となりました。
いずれも指標に変更がなかったことから、パブリックコメントは実施せずに厚生労働省に通知することとしました。
○ジクロキサシリン(動物医薬品)に係る食品健康影響評価について
動物用医薬品ジクロキサシリンは、2007年8月28日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請され、専門調査会での審議を経て、パブリックコメントの手続きを行いました。パブリックコメント期間中に1件の意見が提出されましたが、専門調査会の結論のとおり、「現行のリスク管理の範囲で使用される限りにおいて、食品健康影響を無視できる程度と考えられる」と判断し、厚生労働省に通知することとしました。
(5)令和4年度食品健康影響評価技術研究二次公募課題(案)及び令和4年度食品安全確保総合調査課題(案)について
令和4年度の食品健康影響評価技術研究二次公募課題及び令和4年度食品安全確保総合調査課題を承認し、今後、手続きを進めることとしました。
当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20220719fsc