テレビの番組で、ジビエの生食(刺身)が紹介されました。
しかし、ジビエの生食は危険です。
ジビエは必ず中心部までしっかり加熱して食べてください。
ジビエは、狩猟の対象となり、食用とする野生の鳥獣又はそのお肉のことです。
近年、日本では、シカやイノシシなどによる農作物の被害が問題になっていることから、これらの動物の捕獲が進んでいます。そして、これに伴って、捕獲した動物の肉をジビエとして口にできる機会が増えています。
シカ肉やイノシシ肉は、高タンパク、低脂肪でおいしいなど、ジビエの良いところはたくさんありますが、管理されずに育った野生の動物であり、食用とするには特に気を付ける必要があります。
【ジビエは必ず中心部までしっかり加熱して食べてください!】
ジビエとなる野生動物には、E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌O157がいることが知られています。このほか、トリヒナ症、サルモネラ症などを引き起こす様々な微生物等がいるこことも知られています。過去には加熱が不十分なジビエを食べたことによる死者も発生しています。
これらのウイルスや細菌、寄生虫は中心部までしっかり加熱することで死滅します。
しっかりと言うのは、例えば、中心温度が75℃以上、1分以上と同等の加熱条件です。
見た目が生っぽいものはもちろんダメですが、見た目で色が変わっていても安心できません。必ず中心部までしっかりと加熱してください。
また、肉についている微生物などが他の食材を汚染するのを防ぐため、調理器具の消毒、調理の際に肉を洗わないなど、店舗や家庭で調理をする際にも取扱いに十分注意する必要があります。
最後に、この件に関係するQ&Aもご紹介します。
Q 新鮮だから大丈夫、ルイベだから大丈夫は本当ですか
A 新鮮なお肉は寄生虫や細菌も新鮮です。また、ルイベは冷凍保存したお肉を凍ったまま薄切りにして食べる食べ方ですが、ウイルスは冷凍しても死滅しません。新鮮だから大丈夫、ルイベだから大丈夫ではありません。必ず中心部までしっかり加熱してください。
Q 表面を加熱すれば大丈夫ですか
A ウイルスや細菌、寄生虫は筋肉の中にまで入っていることがあります。必ず中心部までしっかり加熱してください。
Q 信頼できるプロがさばいていれば大丈夫ですか
A どんなに優れた人が解体しても、ウイルスや細菌を取り除くことはできません。必ず中心部までしっかり加熱してください。
Q 昔から食べていて大丈夫だったのに、今の人がダメな理由はなんですか
A 過去には昭和56年(1981年)に冷凍ツキノワグマの刺身による172人のトリヒナ(旋毛虫)症の患者が報告されています。また、E型肝炎が「急性ウイルス性肝炎」から独立して「E型肝炎」として全数把握の対象となり、医師からの報告が義務付けられたのは2003年です。昔から食べていて大丈夫だったわけではなく、報告や報道がほとんどなかったためと思われます。
食品安全委員会 ファクトシート 「ジビエを介した人獣共通感染症」
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/141209_gibier.pdf
キッズボックス:「ジビエ」ってなに?
http://www.fsc.go.jp/visual/kikanshi/k_index.data/vol52_P7.pdf
厚生労働省 「ジビエ(野生鳥獣の肉)の衛生管理について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032628.html