■第848回 食品安全委員会
日付:令和4年2月22日(火)

 

議題

(1)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について

・飼料添加物 1品目

 25-ヒドロキシコレカルシフェロール

 (農林水産省からの説明)

 

(2)農薬第四専門調査会における審議結果について

・「トリネキサパックエチル」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

 

(3)農薬第五専門調査会における審議結果について

・「ピラジフルミド」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について

 

(4)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・添加物「フェロシアン化カリウム」に係る食品健康影響評価について

・農薬「フロニカミド」に係る食品健康影響評価について

・動物用医薬品「オルトジクロロベンゼン」に係る食品健康影響評価について

・動物用医薬品「クロキサシリン」に係る食品健康影響評価について

 

(5)令和3年度食品健康影響評価技術研究課題の中間評価結果(案)及び令和4年度食品健康影響評価技術研究新規課題の事前評価結果(案)について

 

(6)その他

 

審議の内容

 

(1)  リスク管理機関からの説明

 

○25-ヒドロキシコレカルシフェロール

 

25-ヒドロキシコレカルシフェロールは、2月17日に農林水産大臣から食品健康影響評価を要請され、今回、説明を受けました。本品目はビタミンD3の代謝物で、飼料に添加することで栄養成分補給の効果が期待できます。我が国では豚と鶏の飼料添加物として指定されていますが、牛用にも使用できるよう改正することとし、牛用飼料1トン当たり100mgを上限として添加することができるよう、成分規格等を改正する案が示されています。

今後、肥料・飼料等専門調査会で調査・審議することとしました。

 

(2)  農薬(植物成長調整剤)の審議結果

 

○ トリネキサパックエチル

 

「トリネキサパックエチル」は、2021年12月8日付けで厚生労働省から食品健康影響評価を要請されました。この農薬については過去に評価を実施したことがあります(2009年10月22日に第1版を答申)。

今回、この農薬を使用した米、小麦等が輸入される計画があるため、残留基準値設定の申請があり、食品安全委員会に対して評価が要請されました。

 

提出された毒性試験結果等に基づき審議を行い、ウサギを用いた発生毒性試験の無毒性量60 mg/kg体重/日を根拠として、安全係数100で除した0.6 mg/kg体重を急性参照用量(ARfD)と設定しました。許容一日摂取量(ADI)に影響のある試験結果は追加提出されなかったことから変更していません。ADI=0.0059 mg/kg体重/日です。

この審議結果について2月24日(木)から3月25日(金)での30日間、意見・情報の募集を行います。

 

(3)  農薬(殺菌剤)の審議結果

 

○ピラジフルミド

 

「ピラジフルミド」は、2021年12月8日付けで厚生労働省から食品健康影響評価を要請されました。この農薬については過去に評価を実施したことがあります(2017年3月28日に第1版を答申)。

今回、企業からこの農薬をキウイフルーツ、にんじん、ブロッコリー、にんにく、はなやさい類等にも使用したいとの申請があったことから、残留基準値設定の申請があり、食品安全委員会に対して評価が要請されました。

 

提出された試験結果等に基づき審議を行い、ラットを用いた急性神経毒性試験における最小毒性量500 mg/kg体重/日を根拠として、安全係数300(種差10、個体差10、最小毒性量を用いたことによる追加係数3)で除した1.6 mg/kg体重をARfDと設定しました。許容一日摂取量(ADI)に影響のある試験結果は追加提出されなかったことから変更していません。ADI=0.021 mg/kg体重/日です。

この審議結果について2月24日(木)から3月25日(金)での30日間、意見・情報の募集を行います。

 

(4)  食品安全委員会の意見

 

〇フェロシアン化カリウム(添加物)

 

添加物「フェロシアン化カリウム」は、2021年5月26日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請され、専門調査会での審議、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

パブリックコメント中に3件の意見が提出され、指摘を踏まえて評価書の一部の表記を修正しましたが、添加物として適切に使用される場合、「安全性に懸念はない」と判断し、厚生労働省に通知することとしました。

 

○フロニカミド(殺虫剤)

 

農薬「フロニカミド」は、2021年12月8日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請されました。この農薬については過去に評価を実施したことがあります(2019年4月16日に第7版を答申)。今回、企業からこの農薬をマンゴーにも使用したいとの申請があり、残留基準値を設定するため、評価の要請がありました。

 

作物残留試験結果と代謝物の遺伝毒性試験結果が追加提出されましたが、新たに安全性について懸念されるような知見は認められなかったことから、評価結果は前の版から変更していません。ADI=0.073 mg/kg体重/日、ARfD=3 mg/kg体重(一般の集団)、1 mg/kg体重(妊婦又は妊娠している可能性のある女性)です。指標に変更がなかったことから、パブリックコメントは実施しないこととしました。

 

○オルトジクロロベンゼン(消毒剤)

 

動物用医薬品「オルトジクロロベンゼン」は、2020年3月17日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請され、専門調査会での審議、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

パブリックコメント中に1件の意見が提出されましたが、現行のリスク管理の範囲で使用される限り、「食品健康影響は無視できる程度」と判断し、厚生労働省に通知することとしました。

 

○クロキサシリン(抗生物質)

 

動物用医薬品「クロキサシリン」は、2010年2月15日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請され、専門調査会での審議、パブリックコメントの手続きを行いました。

 

パブリックコメント中に1件の意見が提出されましたが、現行のリスク管理の範囲で使用される限り、「食品健康影響は無視できる程度」と判断し、厚生労働省に通知することとしました。

 

(5)  令和3年度食品健康影響評価技術研究課題の中間評価結果(案)及び令和4年度食品健康影響評価技術研究新規課題の事前評価結果(案)について

 

○令和3年度に実施した研究の中間評価結果

 

令和元年度から3年度に採択し、令和4年度も継続を予定している、次に掲げる7課題を評価し、いずれも令和4年度も継続が必要と判断するとともに、評価所見をとりまとめました。

 

・国際動向に立脚した農薬代謝物の新たなリスク評価手法に関する研究

・ノロウイルスによる健康被害実態及び食品寄与割合の推計に関する研究

・新生児期から乳幼児期におけるメチル水銀のばく露評価

・乾燥・貧栄養ストレス下で生残する食中毒細菌のフードチェーンにおける動態解明と食中毒リスク予測手法の開発

・遺伝子組換え台木と非組換え穂木の間の生体成分輸送に起因する食品安全性の評価点解明

・無機ヒ素のヒト体内での健康影響発現メカニズムに関する研究

・食品中の汚染物質のリスク評価手法に関する研究

 

○令和4年度の新規課題の事前評価結果

 

令和3年9月17日から10月21日まで公募を行い、応募のあった15課題から、次に掲げる6課題を令和4年度に実施する新規課題として選定し、評価所見をとりまとめました。

 

・国内の鉛ばく露の実態と小児の神経発達への影響に関する研究

・鶏肉のフードチェーンを通じたカンピロバクターの定量的動態解明とリスク低減効果の評価に向けた研究

・誘電泳動法を用いた細胞分離・捕捉技術の確立によるViable But Non-Culturable状態のカンピロバクターの網羅的特性解析

・アニサキス食中毒のリスク評価に関する研究

Campylobacter jejuniにおける未解明な環境適応機構に対する新しいアプローチの確立

・化学物質による非遺伝毒性発がんの新規リスク予測・評価手法の構築

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20220222fsc