■第841回 食品安全委員会
日付:令和3年12月7日(火)

議題

(1)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について
・動物用医薬品1案件
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第83条の5第1項の規定に基づく農林水産省令の改正について
(農林水産省からの説明)
・動物用医薬品1品目
牛伝染性鼻気管炎・牛パラインフルエンザ混合生ワクチン(ティーエスブイ2)
(農林水産省からの説明)
(2)遺伝子組換え食品等専門調査会における審議結果について
・「MAM株を利用して生産されたα-アミラーゼ」に関する審議結果の報告と意見・情報の募集について
(3)その他


審議の内容

(1)リスク管理機関からの説明

○ 動物用医薬品 農林水産省令の改正

厚生労働省が、寄生虫駆除剤や添加物(色素)として医薬品に使用される「ゲンチアナバイオレット」を食品から検出されてはならない品目にする見込みであることを踏まえた対応について、12月1日付で農林水産省から食品健康影響評価を要請され、今回、説明を受けました。

ゲンチアナバイオレットは動物用医薬品の有効成分ではありませんが、ヒト用の医薬品の有効成分や色素として使用されています。医薬品医療機器等法では、やむを得ない場合に限り、獣医師の判断でヒト用の医薬品を動物に使用することが認められており、当該成分を含有する医薬品が家畜に使用される可能性が否定できません。

このため、使用方法に関する省令を改正し、ゲンチアナバイオレットを含有する医薬品について、食用として出荷する動物(牛、馬、豚、鶏など)や、乳、鶏卵などを生産する動物への使用を禁止する規定を設けることについて、委員会の意見を求めるというものです。

審議の結果、今回の改正は人が食品を通じてゲンチアナバイオレットにばく露される効果をもたらすものではなく、人の健康に悪影響を及ぼすおそれはないと判断し、食品健康影響評価を行わずに、農林水産大臣に対し、「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかである」という旨を通知することとしました。

○ 動物用医薬品 混合生ワクチン「ティーエスブイ2」

ティーエスブイ2は、牛伝染性鼻気管炎及び牛パラインフルエンザの呼吸器症状に予防効果のある牛用の混合生ワクチンです。12月1日付で農林水産大臣から食品健康影響評価を要請され、今回、説明を受けました。
 ㅤ
ティーエスブイ2については、過去に評価を実施したことがあります(2013年4月1日に答申)。医薬品医療機器等法では、承認された動物用医薬品は定期的に農林水産省の再審査を受けることとされているため、今回、企業から再審査の請求があったものです。提出された資料の内容を確認したところ、新たに安全性について懸念される知見は認められなかったことから、既存の評価結果に影響を及ぼす可能性はないと考え、食品健康影響評価を行わずに、農林水産大臣に対し、「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかである」という旨を通知することとしました。

(2)遺伝子組換え食品等専門調査会における審議結果について

「MAM株を利用して生産されたα-アミラーゼ」については、2020年12月1日付で厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請されました。α-アミラーゼはデンプン等のα-1,4-D-グルコシド結合を加水分解することで低分子化する酵素で、パン製造における品質維持を目的に使用されます。

今回、細菌Bacillus subtilisに別の細菌由来のα-アミラーゼ遺伝子を導入して生産されたα-アミラーゼの健康影響評価を行い、挿入遺伝子の安全性、挿入遺伝子から産生されるタンパク質の毒性及びアレルギー誘発性等について確認した結果、「ヒトの健康を損なうおそれはない」と判断しました。この審議結果(案)について、12月8日(水)から令和4年1月6日(木)までの30日間、意見・情報の募集を行います。

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20211207fsc