■第831回 食品安全委員会
日付:令和3年9月7日(火)
議題
(1)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見の聴取に関するリスク管理機関からの説明について

・動物用医薬品1品目
イベルメクチン及びプラジクアンテルを有効成分とする馬の経口投与剤(エクイバランゴールド)
(農林水産省からの説明)

・遺伝子組換え食品等2品目
除草剤ジカンバ耐性セイヨウナタネMON94100系統
(厚生労働省及び農林水産省からの説明)

(2)食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・農薬「テトラニリプロール」に係る食品健康影響評価について

・農薬「ペンチオピラド」に係る食品健康影響評価について

(3)その他

審議の内容

(1)    エクイバランゴールドは、イベルメクチン及びプラジクアンテルを有効成分とする馬用の経口投与剤で、寄生虫駆除に用いられます。9月1日付けで農林水産大臣から食品健康影響評価を要請され、今回、説明を受けました。有効成分のイベルメクチン及びプラジクアンテルについては、過去に評価を実施したことがあります(2006年11月30日に第1版を答申)。医薬品医療機器等法では、承認された動物用医薬品は定期的に農林水産省の再審査を受けることとされているため、今回、企業から再審査の請求があったものです。提出された資料の内容を確認したところ、新たに安全性について懸念される知見は認められなかったことから、既存の評価結果に影響を及ぼす可能性はないと考え、専門調査会による調査審議は行わず、今後、委員会で審議を行うこととしました。

除草剤ジカンバ耐性セイヨウナタネMON94100系統は、除草剤ジカンバを分解する細菌由来の酵素の遺伝子を従来品種のセイヨウナタネに導入して作出されたものです。8月30日付けで飼料としての評価を農林水産大臣から、8月17日付けで食品としての評価を厚生労働大臣から、それぞれ要請され、今回、両省から説明を受けました。本系統は、従来のセイヨウナタネと同じ用途で使用され、飼料としての利用方法や食品としての調理・加工方法は従来のセイヨウナタネと同様とされています。すでにカナダで飼料及び食品として安全性認可を受けています。
今後、遺伝子組換え食品等専門調査会で調査・審議を行うこととしました。

(2)    農薬(殺虫剤)テトラニリプロールについては、2021年6月30日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請されました。この農薬は過去に評価を実施したことがあります(2018年9月4日に第1版を答申)。今回、企業からだいこん、ほうれんそう等にも使用したいとの申請があったほか、海外からテトラニリプロールが使われた作物を与えた家畜の肉や、みかんが輸入される計画もあることから、残留基準値設定の申請があり、食品安全委員会に評価が要請されました。
今回の評価に当たり追加提出されたのは作物等の残留試験結果だけであったため、専門調査会での調査審議を行うことなく、委員会で審議を行い、テトラニリプロールの推定摂取量が許容一日摂取量(ADI)を下回ることを確認しました。ADI及び急性参照用量(ARfD)は第1版から変更していません。ADI=0.88mg/kg体重/日、ARfDは「設定の必要なし」です。これら指標に変更がなかったことから、パブリックコメントは実施せず、厚生労働省に通知することとしました。

農薬(殺菌剤)ペンチオピラドについては、2021年6月3日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価を要請されました。この農薬は過去に評価を実施したことがあります(2019年7月30日に第5版を答申)。今回、企業からにんにくにも使用したいとの申請があり、残留基準値を設定するため、評価の要請がありました。追加提出されたのはにんにくの作物残留試験結果だけでしたので、専門調査会での調査審議を行うことなく、委員会で審議を行い、ペンチオピラドの推定摂取量がADIを下回ることを確認しました。ADI及びARfDは第5版から変更はなく、ADI=0.081mg/kg体重/日、ARfD=1.2mg/kg体重です。これらの毒性指標に変更がなかったことから、パブリックコメントは実施せず、厚生労働省に通知することとしました。

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20210907fsc