「食品の安全性に関する意識調査」の結果を用いて、食品安全委員会が行政機関としてさらに力を入れるべきことを提案した論文を紹介します。

(意識調査の結果は、「食品安全モニターの意識調査①と②」の記事をご覧ください。)

 

論文の著者らは、モニターからの回答から、モニターは、ノロウイルスによる感染の予防策についておよそ十分な知識を持っている一方で、食中毒を引き起こす可能性のある「生食用カキ」の生産から販売までのリスク管理措置については熟知していないことを報告しています(図参照)。このことから、行政や生産者が取り組んでいる「生食用カキ」のリスク管理措置に関する情報は、多くの国民には届いていない可能性があることを指摘しています。

行政機関は、カキ生産から消費までのサプライチェーンに関わる全ての人々に、現在の衛生管理について的確な情報を確実に伝える必要があります。論文では、行政機関は、「食品安全モニター、教育者などのような指導的な立場の人にカキの衛生管理に関する情報をわかりやすく発信すること」、「彼らがその情報を調理従事者や消費者に広めることを促すこと」が重要であると指摘しています。

 

食品安全委員会は、モニター、研究者等、様々な立場の方のご意見をもとに食品安全の行政を進めてまいります。

 

(参考)

”Risk Management Knowledges about Oysters for Raw Consumption and Norovirus”, Kazuo Koyama, Azusa Hirakawa, Chie Uehara, Itsuko Horiguchi. 2020. “Food Safety”,Volume 8. Issue 3. Pages 59-63.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/foodsafetyfscj/8/3/8_D-20-00014/_article/-char/en

 

食品安全委員会 平成30年度食品安全モニター課題報告「食品の安全性に関する意識等について」(概要)

http://www.fsc.go.jp/monitor/monitor_report.data/30kadai-gaiyou.pdf

 

食品安全委員会 食品安全モニターについて

http://www.fsc.go.jp/monitor/