前編ではウエルシュ菌による食中毒の症状や原因食品を中心にお伝えしました。後編では、細菌としての特徴や、増殖するしくみについてお伝えします。

(細菌の特徴)
 ウエルシュ菌は、ヒトや動物の腸管内、土壌、下水、食品、ほこりなど、広く分布しています。「酸素が少ない」環境を好む細菌(偏性嫌気性細菌)で、増殖温度は「12~50℃」です。栄養不足、高温、乾燥など環境が悪くなると、菌体内に「芽胞」を形成して、過酷な環境を生き延びます。芽胞は、100℃で1~6時間加熱しても生残します。増殖に適した環境になると、増殖する細胞(栄養細胞※)となり再び増殖します。
 ※栄養細胞:細菌などで活発に代謝を行っている体細胞や増殖中の細胞。

(増えるしくみ)
 大きな鍋でカレーやシチューなどを大量に調理すると、加熱によって料理内の酸素が追い出されます。この状態で鍋のまま室温に置いておくと、量が多いため温度が下がるのもゆっくりとなり、「酸素が少ない」「12~50℃の温度」状態という、ウエルシュ菌が増殖する条件がそろいます。調理時に十分に加熱していたとしても、調理品の温度が55℃位まで下がり、ウエルシュ菌の発育に適した環境になれば、「芽胞」が栄養細胞となり再び増殖します。

 ウエルシュ菌の増殖を予防するためには、調理後できるだけ早く、小分けにするなどして菌が増殖しない温度(10℃以下)まで冷まして保存することです。前編(
https://ameblo.jp/cao-fscj-blog/entry-12590336113.html)でご紹介した予防法を参考にしてください。

・食品安全委員会ファクトシート ウエルシュ菌食中毒

http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_clostridiumperfringens.pdf