食中毒を引き起こす細菌の中には、加熱や乾燥に強い芽胞を形成する菌がいます。今回と次回はセレウス菌による食中毒を紹介します。

 

細菌の特徴

 セレウス菌は、芽胞を形成する通性嫌気性細菌で、土壌、空気、河川等や食料・飼料等に広く分布しています。セレウス菌は10℃~50℃の間で増殖します。芽胞は通常の加熱条件下で生残し、90℃で60分の加熱に耐える耐熱性があります。

 

症状

 セレウス菌食中毒は症状から嘔吐型と下痢型に大別されます(表1参照)。日本に多いのは嘔吐型食中毒です。嘔吐毒が産生される至適温度は25℃~30℃で、この毒素は126℃90分の加熱でも失活しません。

 

 

発生状況
 セレウス菌による食中毒事件は毎年、数件程度発生し、その患者数は多い年で100人を超えています(表2参照)。

 

 

・食品安全委員会ファクトシート セレウス菌食中毒
 
http://www.fsc.go.jp/factsheets/
・厚生労働省 食中毒統計調査

 ttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html