本日は、⑮「健康寿命の延伸」の効果を実証されている食品はありません、というメッセージをご紹介します。
 「健康寿命の延伸(元気に長生き)」を科学的に実証することは難しく、単独の食品でそのような効果が実証されているものはありません。
 がんの予防や心血管疾患の予防など、健康増進への効果が期待された成分についても、その後の研究で、効果がないということが分かったり、逆に健康を損なう効果が見られる場合もあります。
 かつて、抗酸化作用のあるビタミン類をサプリメントとして多量に摂ることが、心血管疾患やがんの予防につながる可能性があると期待されていました。しかし、2013年に報告された複数の臨床試験の結果をまとめた論文(参考1)では、ビタミンEのサプリメントによる心血管疾患の予防効果はないことが確認されました。また、喫煙者がβ-カロテンのサプリメントを長期摂取した場合、がんの予防どころか、かえって肺がんリスクを上げると報告されています。
 長期的効果を期待して「健康食品」を摂る場合、「健康への効果」が立証されていないのみならず、「安全性」もわからないことを知った上で、摂るかどうかを判断してください。

※ 「健康食品」には定まった法律上の定義はありません。
食品安全委員会からの「19のメッセージ」では、「健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品」を「健康食品」としています。

(参考)
1.Fortmann SP, Burda BU, Senger CA, Lin JS, Whitlock EP : Vitamin and mineral supplements in the primary prevention of cardiovascular disease and cancer: An updated systematic evidence review for the U.S. Preventive Services Task Force.Ann Intern Med 2013;159(12):824-834.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24217421

2.食品安全委員会 「健康食品」に関する情報
http://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.html

3.国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
http://hfnet.nibiohn.go.jp/
(2019年5月24日公表)国内外で注意喚起された健康食品による健康被害の特徴 (Ver.190524) 
http://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail3970.html