本日は、⑪病気の人が摂るとかえって病状を悪化させる「健康食品」があります、というメッセージをご紹介します。

 病気の方は、代謝能力が低下していることにより、摂取した成分の影響をより受けやすくなることがあります。そのため、健康な人が摂っても問題のない「健康食品」(※1)が、病気の方には健康被害をもたらすこともあります。特に、肝臓・腎臓に疾患のある方は注意が必要です。

 腎臓病の食事療法に関する資料(※2)では、健康食品の中にはカリウムが多い野菜飲料など治療上好ましくないものがあるので、健康食品を摂取する場合には、医師や管理栄養士に相談することを奨励しています。例えば、ノニジュースは健康飲料として売られていますが、慢性腎不全でカリウム制限を指示されていた男性が、これを飲んで高カリウム血症を発症したという事例があります。
 また、ビタミンCは水溶性なので、腎機能が正常であれば過剰に摂っても尿中に排泄されます。しかし、腎不全の女性が自己判断で移植前に大量のビタミンCを摂っていた結果、腎移植後に続発性シュウ酸症を起こした事例があります。

 病気治療中の方は「健康食品」を自己判断で摂るのではなく、必ず、医師や薬剤師に相談してください。



※1 「健康食品」には定まった法律上の定義はありません。
食品安全委員会からの「19のメッセージ」では、「健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品」を「健康食品」としています。

※2 日本臨床内科医会 腎臓病の食事療法

https://www.dm-net.co.jp/nrn/2006/08/028.php

(参考)
・食品安全委員会 「健康食品」に関する情報

http://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.html

・国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
http://hfnet.nibiohn.go.jp/
(2019年5月24日公表)国内外で注意喚起された健康食品による健康被害の特徴 (Ver.190524) 
http://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail3970.html