世界保健機関(WHO)が8月に公表した、情報シート「飲用水中のマイクロプラスチック」を紹介します。この情報シートは、WHOがWHO技術報告書「飲用水中のマイクロプラスチック(WHO、2019年)」の「主要な調査結果」、「勧告」及び「結論」を要約したものです。この中で、主要なメッセージ(key messages)は以下のとおりです(当委員会で直訳し「食品安全情報詳細」として掲載したものの抜粋)。
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主要なメッセージ
1. マイクロプラスチックは環境中に広く存在し、海水、廃水、淡水、食品、空気、並びに飲用水(ボトル入り及び水道水の両方)の中に、広い範囲の濃度で検出されている。現在、飲用水中のマイクロプラスチックの存在に関するデータは限られており、マイクロプラスチック粒子の検体採取及び分析を行うための様々な手法とツールを用いた完全に信頼できる研究はわずかしかない。 

2. マイクロプラスチックに関連する潜在的なハザードは、物理的粒子、化学物質及びバイオフィルム※の一部としての微生物病原体の3つの形態がある。入手できる限られたエビデンスに基づくと、飲用水中のマイクロプラスチックに関連する化学物質及びバイオフィルムについては、ヒトの健康に対する懸念は低い。プラスチック粒子、特にナノサイズの粒子の物理的ハザードに関連する毒性について確固たる結論を導くには情報が不十分であるが、懸念があることを示唆する情報に信頼性のあるものはない。

3. 限られたエビデンスによると、淡水の水源におけるマイクロプラスチック汚染の主な原因は、地表を流れる雨水等及び廃水の流出物であることを示唆している。しかしながら、最適な廃水処理(及び飲用水処理)は、マイクロプラスチックの大部分を廃水から効果的に除去することが可能である。適切な下水処理が行われていない地域の住民の、かなりの割合の人々にとっては、マイクロプラスチックよりも微生物病原体及び他の化学物質がヒトの健康への、より深刻な懸念である。

※バイオフィルムとは菌膜(きんまく)とも呼ばれ、微生物により形成される構造体のことです。
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注1 掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。
注2 情報内容について食品安全委員会が事実関係や科学的妥当性を確認若しくは推薦しているものではありません。

食品安全委員会「食品安全総合情報システム」上の当該情報の紹介ページ

http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05210170294

WHO情報シート「飲用水中のマイクロプラスチック」
https://www.who.int/water_sanitation_health/water-quality/guidelines/microplastics-in-dw-information-sheet/en/