毎年、腸管出血性大腸菌に汚染された食品を原因とした食中毒が発生しています。本菌による食中毒は重症化することがあるので注意が必要です。そこで、これから4回にわたって、腸管出血性大腸菌(O157など)による食中毒についてとりあげます。今回は、本菌による食中毒の発生状況とその症状について紹介します。

【食中毒の発生件数】
厚生労働省の食中毒統計によると、腸管出血性大腸菌による食中毒は毎年発生しています。速報によると、今年に入っても、3件の発生が報告されています(表参照)。

 

 

【食中毒の症状】
● 汚染された食品を食べてから1日から14日(平均4~8日間)に発症します。
● 主な症状は腹痛と下痢です。まったく症状がないもの、軽い腹痛や下痢のみのものから、激しい腹痛と血便を伴う出血性大腸炎を起こすものもあります。高熱を伴うこともあります。激しい腹痛と血便がある場合には、速やかに医師に相談する必要があります。
● 重症化すると溶血性尿毒症症候群(※3)などを引き起こし、死に至る場合があります。特に子どもや高齢者では症状が重くなることがあるので注意が必要です。(表参照)

※3 貧血、血小板減少、腎機能障害などを伴う急性腎不全。

次回は、腸管出血性大腸菌の特徴を取り上げます。

(参考)
・食品安全委員会 腸管出血性大腸菌による食中毒に関する情報 

http://www.fsc.go.jp/sonota/tyoukan-shokuchu.html
・食品安全委員会 【読み物版「臨時号」】 [腸管出血性大腸菌O157関連] 平成28年9月12日配信

http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h2809_r1.html
・食品安全委員会 【読み物版】生活の中の食品安全−腸管出血性大腸菌による食中毒について−その1 平成30年5月11日配信
http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h3005_r1.html
・食品安全委員会:食品健康影響評価のためのリスクプロファイル〜牛肉を主とする食肉中の腸管出血性大腸菌〜(改訂版)
http://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/risk_ushi_o157.pdf
・厚生労働省 食中毒統計資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html