日本を含め各国において、食品からの摂取量の低減に努めている物質の一つにアクリルアミドがあります。アクリルアミドは、食材中に含まれるアスパラギンとブドウ糖などの還元糖が高温調理(120℃以上)される過程で生成される物質です。食材に含まれる水分が少なくなってから多く生成します。炒めたり揚げたりした野菜、菓子類、飲料などに含まれているとされています。

食品安全委員会は、平成28年4月にアクリルアミドの食品健康影響を評価した時に、日本人の平均摂取量を推定しています。日本人の1日当たりの平均摂取量は0.24μg/kg 体重(体重50 kgの人では12μg(注1))であり、国際的な評価機関であるJECFA(注2)が各国のデータから推定した平均的な摂取量1μg /㎏ 体重(体重50 kgの人では50μg)や欧米の数値を大きく下回っています。 

アクリルアミドは、動物実験では発がん性が確認されましたが、ヒトにおいては、摂取量とがんの発生率に一貫した傾向がみられていません。食品安全委員会は、「ヒトにおける健康影響は明確ではないものの、動物実験の結果及び日本人の推定摂取量に基づき、公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えない」と判断し、国際的な考え方に従い、「合理的に達成可能な範囲で、引き続き、できる限りアクリルアミドの低減に努める必要がある」としています。

アクリルアミドは食品加工においても野菜炒めなどの家庭での調理においても生成され、アクリルアミドを全く摂取しないようにすることは極めて困難です。また、むやみに食品の加熱をやめると食中毒になる可能性が高まります。
このため、加熱調理を控えたり、菓子類、飲料などの特定の食品を避けるなどの、極端な心配をする必要はありません。日ごろから偏食を避け、バランスの良い食生活に留意していただければと思います。このことによりアクリルアミドの摂取量を抑えることができます。

ご家庭でのアクリルアミドの低減法については、農林水産省HPに掲載されていますので、ご覧ください。

注1:μg(マイクログラム):1μgは1 gの1,000,000分の1の量を表す。
注2:FAO/WHO合同食品添加物専門家会議

(参考)
・食品安全委員会 食品健康影響評価書「加熱時に生じるアクリルアミド」

http://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.data/acrylamide_hyokasyo1.pdf

・食品安全委員会 「加熱時に生じるアクリルアミド」評価書に関する情報(Q&A)
http://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.data/acrylamide_QA.pdf

・コーヒーとアクリルアミド(2018年4月4日配信)
https://ameblo.jp/cao-fscj-blog/entry-12365712324.html

・農林水産省「食品中のアクリルアミド低減に向けた取組み」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/torikumi.html

・厚生労働省 加工食品中アクリルアミドに関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kagaku/topics/tp021101-1.html