カンピロバクターによる食中毒は、日本で発生件数が最も多い食中毒の一つです。厚生労働省の食中毒統計によると、今年は3月末までに15件の発生が報告されており、今後も発生が予想されます。
 今月は4回にわたって本菌について紹介します。本菌による食中毒は、肉や内臓をよく加熱することや、二次汚染に注意することで予防できます。食中毒にならないために、その特徴を正しく理解し、予防法を実践してください。

 今回は、本菌による食中毒の発生状況とその症状についてとりあげます。

[食中毒の発生件数]
 前述の統計では、平成29年(320件)、30年(319件)の本菌による食中毒発生件数が「最多」と報告されています。本食中毒は年間を通して発生していますが、6月を中心として発生している傾向があります(図参照:食品安全委員会 食品健康影響評価のためのリスクプロファイルより抜粋)。昨年は6月と9月の発生件数が最も多く、約40件でした。

[食中毒の症状]
 本菌に汚染された食品を食べてから発症するまでの潜伏期間は1~7日(平均3日)であり、他の微生物による食中毒に比べて長いことが特徴です。
 ●主な症状は、下痢、腹痛、発熱、頭痛、全身倦怠感等、ときにおう吐や血便等もみられます。下痢は1 日4~12 回におよび、便性は水様性、泥状で膿、粘液、血液が混ざることも少なくありません。
 ●国内の食中毒統計では、死亡した人はいません。しかし、海外では、割合は少ないものの、本菌の感染症による死亡例が、高齢者、子ども、免疫力の低下した方で報告されています。
 ●本菌に感染した数週間後に、手足の筋力が低下し、呼吸麻痺や顔面神経麻痺などを起こすことがあると報告されています(ギラン・バレー症候群といいます。症状が進行すると完全四肢麻痺や死に至ることもあります)。

(参考)
・食品安全委員会 食品健康影響評価のためのリスクプロファイル
~ 鶏肉等におけるカンピロバクター・ジェジュニ/コリ ~
【全体版】

http://www.fsc.go.jp/risk_profile/index.data/180508CampylobacterRiskprofile.pdf
【概要版】
http://www.fsc.go.jp/risk_profile/index.data/180508GaiyouCamRiskprofile.pdf

・厚生労働省 「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html

・農林水産省 カンピロバクター(細菌) [Campylobacter jejuni, C. coli]
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/campylobacter.html